第5章「アイザック・アーセニック」

兄?
ルシードの確かめるような呟きにマックスが続ける
そう、同じ孤児院で暮らしてきた同じ能力を使う義理の兄です
ボクが魔学に入った時すでに僕の能力はわかっていました
そしてアイザックと全く同じ能力だったので弟として訓練してきました


まったく同じ能力ってことはそいつにも魔力障壁も使えるということ
今回の魔物の魔力障壁は後天的・・・生まれながらに持っていた能力ではないだろうから
・・・この二つを考えるとあの魔物が魔力障壁をもっていた理由は

ルシードが最後にマックスに視線を送って先を促す
はい、ほぼ間違いなくアイザックの仕業でしょう

ちょ・ちょっとまって、何でさっきの魔物の魔力障壁が後天的だって解るの?
ビセットの質問にルシードがめんどくさそうに答える
あの魔物は攻撃魔法を受けるたび驚いたように動きを止めていた
もし生まれながらに魔力障壁を持っていたのならば魔力を弾いて当然
あんな反応を見せるはずが無い

な・なるほど・・・

ルシードがさらに続ける
さらにもう一つ変なところがある、・・・あの魔物が居た周りの建物
ルシードのヒントでバーシアとフローネが同時に『あっ』と声を漏らした
どーゆーこと?ねぇねぇ?
ルーティがバーシアの肩をゆする、ビセットもわかっていない様子だ
めんどくさそうにしているバーシアに代わってフローネが答える
あのねルーティちゃん、あの魔物の腕力ってあまり強くなかったでしょ?
多分、力だけなら先輩やビセット君ぐらいのはずだった
なのに周りの建物は瓦礫の山になっていた・・・おかしいでしょ?

う・うん、ってことはつまり・・・」「どういうこと?
ルーティとビセットが連携してボケる

脱力させられたバーシアが答えた
まったく・・・あんたたちは鈍いわね
あの場に居たのは魔物だけじゃなくって少なくともあと一人以上いたってことでしょ

あぁ」「なるほど〜
ところでお前は基本的な魔法はほとんど使えないといっていたがその兄はどうなんだ?
ルシードが本題に戻す
僕と同じです、毒以外の魔法は苦手でした
それと武器は僕のように弓ではなく剣を使っています


ビセットが突然口を開いた
なーなー話は変わるけどさ、毒・毒って言うけど魔力障壁って毒じゃないじゃん
ええ普通の魔力障壁は毒とは呼べません、でも僕らの使うそれは・・・
(参考資料3参照)

魔力障壁は金縛りの応用・これは金縛りとともに兄から教わった魔法です
でも解除が出来ないって不便すぎて使えないじゃん
ビセットが不満そうに言う
えぇ、その通り、使う気もありませんが
味方にも敵にも使うことのできない魔法なんです


ただ、今は解除の方法を研究中なんです
さっきのような状況の時の為か?
ルシードが聞き返すがマックスは首を振って
いえ、さっきのような時は最悪同じようにやれば済むんですが
もし兄と直接対決になった時、自分に魔力障壁をかけるしか死なない方法が無いんです


その上で肉弾戦で決着をつけるって訳か
ルシードの呟きにマックスがうなずいて
そんな感じです

バーシアが会話を終わらせるように手を叩きながら言った
はいはい・まぁそのことはおいおい考えていきましょ、
メルフィとティセがもうすぐ帰ってくるし食事でもしてゆっくりしましょ

ティセ?誰ですその人?
マックスが首をかしげながら聞いた
あぁ言ってなかったかこの事務所には居候が居てな・・・
ルシードが言いかけると玄関の空く音が聞こえ、同時に元気な声が響いた
ただいまぁですぅ〜〜〜

お・うわさをすればなんとやら、お帰りー、ティセー メルフィー
ビセットが出迎える
食堂の扉が開いてティセが顔を出す
あ・ご主人さまぁ、ただいまですぅ〜
!?
その姿を見た直後マックスはティセに駆け寄っていた
へザーめ!!
腰のナイフをすばやく取り出すとティセに向かって振り下ろした
あややぁ?
ティセの能天気な反応より早くルシードの手がマックスの腕を掴んでいた
落ち着けマックス、さっき話していたティセだ、へザーだが害は無い


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