第4章「マクシミリアン・アーセニック」



とりあえず事務所についたメンバーはそれぞれ風呂に入り、食堂に集まっていた
ゼファーはまだ戻っておらず
メルフィ、ティセは新人歓迎のための食材を買いに出かけていた

6人全員が席についたところでルシードが切り出した
それじゃ簡単な自己紹介を頼む
はい、名前はマクシミリアン・アーセニックです、年は・・・
マックスからの自己紹介が終わると周りから質問が出た
それにマックスが答えていく
(参考資料1参照)

そして大体質問が尽きてきた頃にフローネが始めて質問した
あ、あの・・・そのアーセニックっていう名前は・・・その・・・
そうです、砒素という意味です
言い難そうにしているフローネの代わりにマックスが先回りして答えた
砒素ってあの猛毒の?
でもそういう悪魔とか毒物系統の名前も普通禁止されているはずじゃないですか?

そうですね、どうせ話そうと思ってましたので順を追って話しますね
そう言ってマックスが語り始めた
僕は物心がついた時から両親がいない・・・孤児だったんです
え?
この名前は孤児院でつけられた名前なんです
だが孤児院であってもそんな名前はつけられないだろう?
ルシードが聞き返す
えぇ、一般の孤児院ならつけようともしないでしょうね
一般って言うってことは特殊なところに居たって事だよね?
今度はルーティが訪ねる
はい、僕は魔法能力者専門の孤児院・・・魔法能力者専門学校・・・魔学という所に居ました
ふーん、聞かない名前ね
バーシアが首をかしげながら言う
皆さんも魔法能力者ですからわかると思いますが、子供は純粋で残酷です
魔力を持つ・・・つまり人と違った力を持つものを平気で疎外します

「・・・・・・」

沈黙したみんなを見回してさらに続けた
そうやって疎外される事により、自分の能力が嫌いになり閉じこもる子もいます。
そんな子供を減らそうと、孤児院を回り魔法能力者を集め始めたんです
といっても魔法能力者自体が最近では珍しいので年に1,2人程度ですけどね

でも、いい考えですね・・・それで悲しむ子供が減るならば…
フローネが呟いた、ルーティやビセットもうつむいている
でも最近は創立の頃とずいぶん変わってしまったんです・・・がそれは後で話しますね

その魔学に引き取られた子供は独自の特殊能力を探す訓練をさせられます
この言葉にルシードが訪ねる
それはこの事務所でやるような魔法訓練とは違うのか?
それもしますがこれは違います、魔法能力者にはその人にしか使うことの出来ない
独自の特殊能力を持つことがあるんです、そしてそれは幼い時に発現しやすいのです

へーそれって俺にもあるのかな?
ビセットが興味津々に訪ねる
ビセット君ぐらいの年になるとほぼ発現する事は無いそうです
ちぇー
ちなみにフローネさんの動物と心を通わせることのできる能力はそれだと思います
そうなんですか・・・

そして、さっきも言いましたが創立当事と現在では魔学の方針自体が変わりました
昔は純粋に魔法能力者を守るためでした・・・ある程度育ち目標を見付けたら卒業する


しかし現学長は裏の権力者に逆らえず金儲けのための会社へと変わってしまったのです
魔学に居る生徒はそのすべてが魔法能力者、普通では出来ない仕事が出来る


確かに昔の方針では保安局からの援助だけでは赤字だったのでしょう
それでも活動したのは学長自身が能力者で、皆の苦しみを知っていたからでしょう


そしてその組織から出ることが自由ではなくなりました・・・学長の許可がいるのです
許可が出るのは魔学に必要ないと思われた生徒だけです


おまえに許可が下りたのか?さっきの戦闘を見る限り、かなり出来そうだが?
ルシードがすぐ聞く
いえ、脱走したんですよ。だって僕に来る依頼なんて一つしかないでしょうからね
バーシアが珍しく真剣な顔をして尋ねる
さっきの能力・・・ね、今までは気にして聞かないようにしてたけど
今聞くべきなんでしょうね・・・あの能力は・・・何?


解りやすく言うと『毒』です 僕の名前『アーセニック』もそこからきてるんです
3,4歳の頃ある事件がおきて、そのときに始めて使ったらしいです

事件って?
ルーティがすぐに訪ねるが、マックスがうつむくのを見てバーシアがフォローする
聞かないほうがいいみたいね、またの機会に教えて頂戴ね

・・・ありがと、ま・あんま覚えてないんですが断片的にその光景が浮かぶんですよ
正確に言うと毒ではないんですあれは・・・

(参考資料2参照)

諸刃のツルギってやつだなぁ、そりゃ
ルシードが能力の説明を聞いた感想をもらした
そうだね、しかも殺すのと動きを止めるのしか使えないんじゃ不便だね
もっとこう、眠らすとか混乱とか魅了とか・・・

次にビセットが感想をもらす
そりゃゲームの話じゃないのビセット?
バーシアがビセットの頭を小突きながら話す

そして最後にフローネが
でもさっきの話を聞くかぎり、できるだけ使わないようにしているのよね?
どうしてあの場面ですぐに使おうと思ったのかしら?

ルシードが首をかしげながら言う
そりゃあれ以外に方法は無かったんじゃないか?直接攻撃も聞かないんだし
でも、それまでの戦闘に参加していないですから一瞬の判断では・・・その・・・
フローネが小さい声で言い返していたのをさえぎりマックスが口を開く
フローネさんの言う通りあの矢が弾かれたのを見ただけで毒を使った理由は
最初からあの魔力障壁を知っていたからです
そしてそれは、ボクが魔学を脱走したもう一つの理由でもあるのです

マックスは立ち上がってさらに続けた
僕にもあの魔力障壁を張ることが出来ます、僕の作れる『毒』の最後の一つです
そしてあれを張ることのできる人物がもう一人居るんです
そいつの行動を止めるため保安局にBFに来た
僕と同じ能力を使う、兄
アイザック・アーセニック


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