アカデミー


わぁーーー気持ち良いーーー
そうだねーーー
あんまりはしゃぐなよ、落ちたらバリアの外に放り出されて突風に吹っ飛ばされるぞ
はーーーーい

今マックス達は 一匹の魔獣に乗って上空高くを高速で飛行している
通常 移動には電車を使っている
だが今回はかなりの距離を移動するので魔獣を召喚した
ちなみにエミュやミラは乗るのが初めてで先ほどからずいぶんとはしゃいでいる
あのアイザックとの決着の時に召喚した魔獣よりも数段大きいものだ

一応バリアで風などを通さず
地表から見上げても何も見えないように結界が張ってある
別にここまで偽装する必要は無いといえば無いのだが
妙な目撃情報が有るとその町のBFが動く必要が出てしまうかもしれないので保険である
(ちなみに全国的に対魔物の組織の名称がBFで統一された)


そろそろ見えてくるぞ
マックスの言うとおり4人の前に町らしきものが見えてきた
うわぁぁぁ
おっきいいいい
2人の感想通りその町は世界でも最大級の港町『ケンドール』


魔獣はアカデミーと思われる建物の上空で停止し、そのままゆっくりと降下し始めた

よし、飛び降りるぞ
はい・・・って、えぇ!?
ミラが驚くのも無理は無い、ある程度降りたとはいえまだビル10階以上の高さはある
大丈夫よ 私が結界張るから
で・・・でもぉ
エミュが下を見下ろしながら不安そうな声をあげる
ほら つべこべ言わずに降りるぞ
マックスはそういうと二人を両脇に抱えていきなり飛び降りた
わぁぁぁぁ〜〜〜」「ま・まだ心の準備が〜〜〜
続いてフローネも飛び降り
2人が気付くころには既に地面に足がついていた
あ・あれ?」「生きてる?
そんなに簡単には死なないだろ
ほら二人とも こっちよ
既にマックスとフローネは建物の入り口まで進んでいた
慌てて二人も追いかけていく



お久しぶりです、ゼファーさん」「ご無沙汰してました
あぁ、もう5,6年ぶりかな
そんなに経ちますか・・・早いですね
確かそのときにフローネが俺の足を治してくれたんだったな、重ねて礼を言う
いえ、あれから大丈夫ですか?
うむ、最初は完璧には動かなかったが 最近では現役の頃のように動くようになった

ゼファーは昔、とある事件で足を負傷したため一線を引く事を余儀なくされていた
それを5,6年前にフローネが開発した魔法で完治する事に成功したのだ
・・・とはいえ魔力消費が尋常ではなく、登録などできるような代物ではないのだが・・・

で、そちらの子供達が・・・?
はい、エミュとミラです
そうか・・・ずいぶん大きくなっているな
そう言われて二人は少し戸惑った
まぁおぼえていないのも無理は無いだろう、何しろ会ったのは7歳頃だしな
始めまして、ゼファー・ボルティという。昔キミのご両親の同僚だった者だ

あ、始めましてエミュリットです
ミランスです・・・よろしく
俺はアカデミーの教官長でもある 何かわからないことがあったら聞くといい
「はい」
それじゃフローネ このアカデミーを少し案内してやってくれ
そうですね、それじゃこっちへいらっしゃい
フローネが二人を引き連れて奥へと入っていった



さて、そろそろ本題移ろうか・・・マックス 例の件はどうだった?
どうやらほぼ間違いは無いでしょう、最近の異変は奴に原因があると見ていいと思う
そうか・・・10年前の事件でその可能性は考えてはいたが・・・
だが目的はまだはっきりとはしない、ある程度の予測しか立たちません
漠然とした物でもいい、一応報告してくれ

・・・おそらく今までの悪霊とは比べ物にならない悪霊が生まれる・・・可能性が高い
奴は各町を回って自然に発生した悪意抑制の結界を破壊したと考えています

その悪意をエサに今の悪霊が増えている・・・と?
はい、普通なら浮幽霊程度で止まる所を その悪意のせいで悪霊になってしまう
結果・・・悪霊の巣窟になってしまう・・・か・・・
とりあえず今は壊された結界を修復して回っていますが・・・間に合わないでしょう
既にそいつが生まれる兆候が見られるのか?
はい・・・昨日までいた町・・・あそこの付近で『何か』感じました
・・・・そうか・・・・引き続き調査を続けてくれ
分っています

これからどこへ行く気だ?
解っているんでしょう?最大の悪霊の巣窟『カニューレ』へ
・・・確か報告では奴が破壊したのは建物1つであったはずだが・・・
奴はその1つが最大の効果をなすことを知っていたのでしょう・・・
あそこには信じられないほどの数の悪量が巣食う事になってしまった

そのせいで町の住人は全滅・・・か・・・
一度は殲滅しましたが、あの頃は悪意が漏れている事を知りませんでしたので
行って封印してきます。あそこから大量の悪意が漏れているでしょうから

気を付けろよ、一度殲滅したとはいえ また悪霊で溢れている可能性はある
はい、あの子達の事よろしくお願いします
あぁ、俺達が責任を持って育てよう
あの子達を連れて行くには危険すぎますしね
マックス
はい?
くれぐれも無茶はしてくれるなよ、危なくなったら俺達を呼べ
解っています、引き際は心得ているつもりです
だがお前は奴のことになるとムキになるからな
いいな、子供達を悲しませるような真似だけはするんじゃないぞ

はい、心配してくれてありがとうございます
なに、『仲間』なんだろう?
ふふっ そうですね、それじゃみんなにも宜しく言って置いてください
あぁ、あいつ等とは会わなくても良いのか?
時期が来れば嫌でも会いますよ、それとこれ 一応今までの報告書です
分った、俺も資料室で過去の文献でもあたろう
お願いします、何かわかったら あの電話で知らせてください
そのつもりだ、では またな
はい



とーさん達もう行っちゃうの?
もう少しここにいたっていいじゃない
すまんな、明日から仕事が入っているからもう行かないといけないんだ
寂しくなったら電話してね
うん」「そうする
それじゃ
マックスが地面に手を当て魔獣を召喚する
元気で暮らせよ
しっかり勉強するのよ
二人がそう言うと魔獣は飛び立っていった


二人はいつまでも 何かで滲んでいる空を見上げていた


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