あれから


その影はゆっくりと慎重に鍋に箸を伸ばします
暗い部屋の中 どす黒い鍋の中を慎重に箸で探り
小さな何かを掴んで恐る恐る液面から出し
黒い水が滴るその物体を 口へと運び・・・

・・・
・・・

決して大きくない部屋の中
エミュとミラはイスにじっと座っている
その前で 青いロングの女の人が その手にとった本を朗読しているところだった
本のタイトルは
『恐怖の闇鍋パーティー』

読まれるタイトルはそのときの気分次第だが、本の朗読をただひたすら2時間聞き続ける
これがこの家流の説教だった
ちなみに眠る事は許されない というか眠気を取る魔法がかけられていて眠れないのだ

2時間後


ガチャ
や・やっとおわったよぉぉぉ
つかれた〜〜〜

二人とも お疲れ様、これに懲りたらもう無断で危ない行動するなよ
い・今はとりあえず素直に頷いておくわ
僕も
ははは そうだな、それとフローネもお疲れ様
いえ 私は全然疲れてませんよ、マックスもどうです?
遠慮しとく(0,5秒)」
ふふっ、遠慮しなくても良いのに
お前こそ俺に気を使わなくてもいいんだぞ
2人とも微笑を浮かべながらの会話ではあるものの
マックスの額にはうっすらと汗も見える

何となくお父さんの方が必死ね

だね
それはそうと、お前達 あんまりこういうことが続くようだと
もっと強行的な手段に出るかもしれないから気を付ける様にな

強行的って?
ま・まさか!?縛り!!?お父さんがそんな趣味を!!!?
意味が全然 ちっがーーーう って言うか お前どこでそんな事覚えた?
あなた・・・私信じてたのに・・・
フローネ嘘泣きだろ
うん♪
はぁ…とりあえずこの部屋に結界を張るか、金縛りだな
う・・・金縛りって結構辛いんだよね
そうよねぇ、首から上だけ動くってある意味拷問よ
もし足元に変な虫がきても何にも出来ないんだもん

ま・それが嫌ならあんまりこういうことをするなって事さ
はぁ〜い



説教が終わった後リビングで食事を取りながらマックスが話し始めた
さて・・・今度の仕事はBランクな訳だが、お前達も連れて行こうかと思っている
え!?
いいの?



マックスとフローネは今 悪霊退治をしながら世界中を巡っている

つまり今はBFの所属ではない

二人はアイザックとの決着の後BFを抜けた
理由は魔学の再建である

アイザックはシープクレストでの決着の前は各地で破壊活動を行なっていた
明確な目的は解らないが、ある場所では町が丸ごと壊滅したところもあった
そのアイザックを倒したという事で
マックスとその所属するシープクレストBFは有名になった

その為シープクレストBFに入室を希望する者が増えたのだが
アイザックが元々いた魔学の存在と、その機関のしてきた事が公になり
『小さな頃に入学させ、一生そこで仕事をさせる』という
非人道的な部分のみが報道されたため、閉鎖となってしまった

この魔学は最近ではその様なシステムになってしまっていたが
元々は魔法適性を持つ子供の保護を目的としていた
その役目をもつ施設をマックスは建てようと決めたのだ
幸いシープクレストBFはかなりの人数が増員されていたので
やめることによるBFの人手不足の心配はなくなっていた

本部は有名になったマックスをBFに留めようとしたが マックスの決意は固かった
フローネもその考えに賛同してくれてマックスと共にBFを脱退した

世界の魔法関係者の中で有名となったマックスの働きかけもあり
魔法適性を持つ子供を育てる学校が各地にできることとなる

またちょうどその頃、悪霊の発生件数が急増してきていた
それに対抗する為の魔法能力者を育てようという意味も持っていた


魔法学校 通称アカデミーと呼ばれ、世界各地に多くのアカデミーが誕生した

マックスとフローネは結婚し、各地を回りながら魔法能力を持つ子供を捜し
アカデミーの運営費用の足しにする為に各地で悪霊退治などをするようになった

そういう生活を始めて1年ほどで子供が生まれる
男の子と女の子の双子で、生まれた時から大きな魔力を有していた
その子達を育てつつ再び悪霊退治の生活を続ける

悪霊退治には被害の大きさや悪霊の強さなどからランクがつけられ
マックスとフローネで解決できるものの中で最高ランクをAとし
そこからBCD・・・KLMと下がっていく(下がり方は大体で決める)
また二人だけでは対処し難いレベルはランクSとし
その中でも低い物からS1,S2,S3・・・とつけられていく
Sランクの仕事は他の人を当てたり助っ人を呼んだりすることで対処する
(このランクは2人が独自につけるもので、公式に通用する物ではない)


今まではEランク程度の仕事にはエミュとミラを連れて行っていた
Eランクならば二人だけでも解決できるレベルである
連れて行ったとしても二人が邪魔にはならないし危険も少ない
今回二人を連れて行こうというのはBランク
二人が死ぬ気で戦えば倒せる可能性がない訳ではないというレベルがCランクである
つまり二人がどんなに頑張っても無理なレベル それがBランクだ
ちなみに今回二人が勝手に解決しようとした事件はDランクの中でも簡単な仕事である
(つまりS1ランクぐらいならマックス達だけでも出来なくはない)



まぁ二人に上のランクを見せておこうと思ってな
わぁ
うー少しドキドキする
でも二人とも そこで勝手な行動を取ったら死んじゃうかもしれませんからね
分ってますよぉ
う・うん
仕事は明後日だから明日は今日の傷をしっかり治しておけ
は〜い


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