あれから


ここだ
マックスは目の前に建つ教会を見上げながらいった
教会?
あぁ、ここ最近使われなくなっていたらしいが・・・
それじゃ、ミラ エミュと防御結界を張って
え?もう張るの?
ここを開けたらすぐに戦闘が始まるわ
でも全然魔力を感じないよ
そりゃ建物に強力な結界を張ってるから、でないと常に周りに被害が出るだろ
そういうこと、しっかりと結界張ってね わたし達にもそんなに余裕はないから
う・うん


ミラとエミュは手を繋ぎ精神を集中する
ミラの魔力とエミュの魔力をあわせて エミュ一人よりも強力な結界を張る
さらにミラの敵の属性を読む能力を利用して
敵に合わせて常に結界を変化させる
そうすることで防御に関してはほとんど問題がなくなる


それじゃ開けるぞ
気を付けてね
「はい」

バタンッ

扉を空けた瞬間
二人は立っている事すら出来なくなるぐらいの禍々しい魔力が流れてくる

うぅぅぅぅぅ」「あぁぁぁぁぁ
必死で足に力を入れ 目の前を見据える

目の前ではマックスが昨日とは比べ物にならないほどの魔力を放っている
その矢の雨で入り口付近の悪霊を一掃すると二人で突入する

ミラとエミュは震える足を必死で抑えながら開いた扉に近付く

扉に近付けば近付くほど より濃厚になった魔力の渦に飲み込まれそうになる

エミュ・・・大丈夫?
ミ・ミラこそ・・・しっかり

お互いに励ましあい何とか扉にまでたどり着く
すでに二人が突入して十数秒が経つので魔力が少しづつ減っているようだ
それでも二人にはまだまだ厳しいのだが

一歩中に踏み入れると
その中では荒れ狂う悪霊たちを二人が次々と祓っている光景が目に入る

一瞬ミラの目の前を何かが横切ったかと思うと 横から強烈な衝撃が加わる
きゃぁっ
その声に反応したのか その悪霊はマックスが放った光で消え失せていた
大丈夫?ミラ
まぁ・・・一応ね・・・こっちの心配してないで、間違っても結界消さないでよね
うん、分ってる

もしこの前のように 衝撃でエミュが結界を消すような事があれば
今のような一撃で二人共まとめて殺される可能性すらある


マックスとフローネはほぼ危なげなく悪霊を殲滅していく
すでに周囲に先ほどまでの禍々しい魔力はなくなりつつあり
二人は残りの悪霊を倒す為に奥へと進んでしまった
その場で待っているように言われていたので動く訳にもいかず
ただ誰も居ない かつての礼拝堂で 最大限の力を使い結界を張り続ける
それは先ほどのような奇襲を避けるためであるが
何より先ほどの恐怖が残っている為 結界を消してもいいと言われても
絶対にこの場では消したくないと思う

少し待つと奥へ通じる戸から一瞬 肌寒い風が吹き付ける
来る!?
遠くの戸から二人までの距離をほんの数秒で詰め、二人に衝突する
結界のおかげで一応無傷で済んだが 一昨日の悪霊のように四散はしない
敵の魔力の方が高ければ弾くのが精一杯というところだ
しかしいつまでも弾いていられる訳ではない
この調子でいつまでも体当たりをされれば 結界は必ず破綻するだろう

くっ
既に10数回の体当たりを受け、結界の破綻は時間の問題だった
エミュ、このままじゃダメ アレやるわよ
え?無茶だよ
無茶でも何でも やらなきゃ死ぬわ
でも・・・
討論する暇はない、もう結界はもたない いくよ・・・
わ・わかった
悪霊が再び結界に衝突し、はじけた瞬間
今よ!!
くっ
二人を覆っていた結界が消え ミラが一歩前に出る
悪霊がミラのすぐ前に迫る
破っ!!!
ミラの青白く光る拳が悪霊に打ち付けられ 一瞬で悪霊は消えた

ふ〜〜〜〜〜〜な・なんとか・・・
なったね・・・


二人はぐったりとその場に倒れた
本来なら敵を一匹倒したからといって一息つくなどもってのほかである
なぜなら敵を倒した一瞬が 逆に一番隙が大きくなる時であるからだ
それは知っていたが二人ともその場に倒れた
理由は、ひとつに邪悪な魔力が既に消えている事
そしてもう1つは悪霊を倒した直後 2階にいる人影が見えた事だ
それは弓を番え臨戦体制のマックスだった
つまりこの戦闘は茶番
悪霊はたまたまマックス達を突破した訳ではなく
来るべくして来た ということらしい


お疲れさま、よくやったぞ
試すような事をしてごめんなさいね でも、よく頑張ったわ

とーさんもかーさんもひどいよ〜
もう死ぬかと思ったわ

でもあなた達ならやれるって信じてたわ
あぁ さすがだな、ところでトドメを刺した技は新技か?
「あ・あれか」
あれはエミュの新技が使い難かったから、それを改良したのよ
確か触れたらアウトっていうトラップだったわよね、元々
うん、でも魔力が高密度すぎて・・・トラップだってバレバレだったんだよね・・・
だから私の腕にそれを張って、打ちつけることにしたの 勿論腕は結界で守って、ね
なるほど、なかなかいい出来だったぞ

とりあえずお疲れ様、ご褒美に今日の夕飯はどんなリクエストにも答えるわよ
ほ・ほんと?
え〜っとねぇ・・・僕は
あ、エミュ ずるい
どっちのも聞くから慌てないで良いのよ


戦闘も終わり、4人は笑いあいながら商店街に歩いていった


この時はまだ、平穏の中に居て

それが段々終わりに近づいている事に、2人は気付くはずもなかった


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