2人の若き魔法使い


ここは大陸の中でもかなりの人口を持つ町「ブーテナント」の中央広場
そこは休日の昼間と言うこともあり かなりの賑わいを見せていた
そんな中を二人の子供が言い合いをしながら歩いている

ちょっとエミュ!ここどこなのよ?
女の子のほうが男の子を非難するかのように問う
口調からもかなり強気な性格である事がすぐに解る
し・しらないよ、ミラがずっと地図持ってたじゃないか
対して男の子のほうは控え目に反論する
ったく、それにしたって道間違ってたら教えなさいよ!
無茶言わないでよ、ミラってば どんどん歩いちゃうくせに
はいはい、わたしが悪かったですよ〜〜だ ほらっ地図
そう言ってミラと呼ばれた女の子はエミュと呼ぶ男の子に地図を渡す


この二人 実は2卵生の双子である
男の子の名は「エミュリット」青色の短髪
女の子の名は「ミランス」銀髪で肩までのセミロング
二人は性格も正反対で、男のエミュは控え目で、女のミラは押しが強い
この子達の親は何度「性格が逆だったら・・・」と呟いただろうか


しばらく周りと地図を見比べていたエミュが歩き始めた
こっちだよ
今度は迷わないでよ!
さっき迷ったのはミラでしょ?
もー、細かい男は嫌われるわよ!
・・・うぅ・・・

別に山の中を歩いている訳ではないのだから
人に聞けばすぐに道など分かるだろうが
・・・
二人には ちょっと人目から隠れたい気持ちがあるのかもしれない




あ!ほら ここだよ
え〜と・・・うん、ここで間違いないようね
住所を確認して確かめると ミラは呼び鈴も押さずにずかずかと中に入っていく
ミラ!勝手に入って良いの?
どうせここは悪霊だらけなんでしょう?許可なんているわけ無いじゃない
そ・そうかなぁ・・・一応誰かの所有物だと思うんだけど
そういうエミュの言葉を全く聞かずにミラは奥に行ってしまった
ま・まってよ〜


多分この扉を開けたら敵だらけよ
う・うん
ミラの言うとおりこの扉の向こうから邪悪な魔力が流れてくるのを感じる
それじゃエミュ ちゃんと結界張っておきなさいよ
そうだね・・・・・・
2人の体表面を薄く覆うように魔力が展開する
・・・・・・よし、大丈夫だよ
開けるわよ、結界あるからって油断しないでよね
わ・分ってるよ

バッターン

扉を蹴破ると同時に 悪霊が飛び出してくる
その悪霊を一撃でミラが仕留めた
その後も扉から出ようとする悪霊を次々に叩き落していく


ミラの戦闘スタイルは近接格闘
己の拳や足に魔力を集めそれを敵に叩き込む
さらにミラは天性の勘で瞬時に敵の属性を読み取り
その逆の属性で攻撃する事が出来る
これはいくら属性攻撃の訓練をしても身に付かないほどのスピードを誇り
これに関しては天才と言ってもいい程の才能だ

対してエミュの戦闘スタイルは 守りである
エミュは多種多様の結界を操り敵を寄せ付けない
ミラが安心して近接格闘をしていられるのも
ミラ自身に薄く しかし強力な結界が張ってあるからである

守りはエミュが完璧にこなし
攻めはミラが担当する
理想的なパーティーではある



しばらくすると扉から出てくる悪霊もいなくなり
二人でその部屋へとゆっくり入っていく

ん〜 この部屋の敵はもう居ないみたいだわ
そうだね
そう言って安心していたところを
突然 先ほど2人が入ってきた扉から悪霊がなだれ込んできた
その群れはエミュに体当たりをし
エミュを覆っていた結界に直撃すると大きな光と共に四散する
わぁ!?
バタッ

ち・ちょっとエミュ?
エミュは結界で守られたとはいえ後ろからの攻撃の衝撃で気絶してしまった
さらになだれ込んでくる悪霊にミラが拳を打ち込んでいくが
エミュの張る結界が消えた今 少しずつ押され始めてきた
あ〜〜もーだめーーーー

ミラ? もうギブアップか?
え?
部屋の中ではないどこからか声が聞こえたかと思うと
バリーーーン
元々ひび割れていた窓がけたたましい音を立てて破壊される
同時に中へと入ってくる男が一人
窓を蹴破って入ってきた銀髪の男がミラの前に立つ
お・お父さん?

お父さんと呼ばれた男は弓を構え、矢もつが番えずに弦を引き絞った
悪いが・・・消えてもらう
それだけ言って弦を離す
すると何もつが番えていなかったはずの弓から
数百本とも思えるような矢の雨が放射状に流れていく
それを数度行なうだけでこの館の悪霊は全て消え去っていた
矢は壁を傷つけずに貫通して 悪霊のみを祓っていったのだ



エミュ!起きなさいよ!!
ん・・・あ・あれ?ミラ?
あれ?ミラ? じゃないわよ!! あんたのせいで死にそうになったじゃないの!!!
え?・・・って とーさん?
ミラの言い方もちょっとキツイが・・・
まぁもうちょっとエミュが踏ん張れれば二人だけでもいけたかもな

ゴメンなさい
謝ったって遅いわよ、大体結界があるんだから痛くもないはずでしょ!
そ・それはそうだけど・・・
まったくもーエミュのせいであたしまで・
こぉらっ!
いたっ
元はと言えばミラが内緒で仕事をしようとしたんじゃないのか?
う・・・
帰ったら かーさんから2時間説教だぞ
えぇ!?
あぅ・・・
も・もうちょっとまけてくれないかな?
>だめだ、もし成功していれば1時間って話だったけどな
エミュがしっかりやってくれれば1時間ですんだのに・・・
ゴ・ゴメンってばぁ
ほーら、喧嘩は止めろよ 何なら3時間に伸ばしてもらおうか?
ごめんなさ〜〜い

3人は並んで館を出て家の方に歩いていった


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