きもだめし 前編



肝試しをしましょうよ
フローネが立ち上がりながら提案した

今BFは昨日の事件解決の功績により特別休暇として温泉に来ていた
とはいえBFの任務の特性上 完全に休みというわけではなく
メルフィは事務所待機の上に全員の通信機携帯が義務付けられている
さらにシープクレスト市内限定である

フローネはいつの間に用意したのか地図を開きながら説明していく
今ここの旅館にいて、この山のここを通って・・・ここにビンが置いてあるので
ボールを入れて戻ってくる というオーソドックスなタイプです

そのビンはどうしたんだ?
わたしが昼間においておきました♪
ルシードの質問に嬉しそうに即答する

そして何を思ったのかゼファーが小さく笑いながら立ち上がる
ならばこの俺がティセと共に脅かし役になってやろう、これがいないとつまらんからな
ちょ・ちょっとまて、なんでお前はそんなに乗り気なんだ?
ふっ 怖いのか?
んなわけねーだろ・・・ったくやりゃいいんだろ
分ってきてるじゃないか さてペアを決めようかちょうど男女3組できるな

・・・フローネを除くみんなが同じ事を考えていた・・・
(この人なんでこんなに面白そうなんだろう)

厳正なるくじ引きの結果
一組目 フローネビセット
二組目 ルーティルシード
三組目 バーシアマックス
となった



すでに1,2組が出発し、3組目出発の時が来た



バーシアと進む事数分
旅館の裏から山の中に入り少し進んだところで突然バーシアが座り込んだ
マックス、あとよろしく
へ?
マックスが間抜けな反応をしている間に
バーシアはどこから取り出したのか一升瓶を抱えていた
そのボールをビンに入れてくるだけ そんな任務あんただけでできるでしょ
あの・・・
ほら とっとと行く ・・・それとも先輩の言う事が聞けないの?
りょーかい
よしよし、首尾よく行ったらミッシュに付き合ってあげるわ
僕はまだ未成年ですよ〜
そう言いながらマックスは駆けていった
マックスが見えなくなるのを見届けて酒を注ぐ
ふー、これでゼファーに見つからずに酒がのめるわ
良い酒だからゆっくり飲みたかったのよねぇ

ほぅ、それはうまそうな酒だな。俺にもいっぱいくれないか?
ゼ・ゼファ〜〜〜〜〜!?



マックスが走っていると前に人影が見えた
おそらくルーティとルシードだろう
バーシアの事を説明出来ないので合流する訳にもいかない
とりあえず少し離れながらばれない様に足音を忍ばせ歩き始めた

ルーティは恐がっているがルシードはそんなルーティが鬱陶しいだけのようだ
ルルルルルルシードォ
あーもーうっせーな、居るとすりゃゼファーかティセなんだから んなに恐がんなよ
ちょっとした風の音や動物の鳴く音でルーティはいちいち恐がっていた
しかしルシードさんは相変わらずだな、人は暗闇だけでも恐怖を感じるものなのに
ん?
ルシードが急に後ろを振り向いた
すぐに気配を消す
おっかしぃなぁ、何か居たような気がしたんだが
ルシードは再び前を向いて歩き出した

そそそそれって、ゆゆゆゆゆーれい?
五月蝿い、黙って歩け さっさとしねーと追いつかれるぞ
ま・待ってよ〜


しばらくそのまま歩いていたルシードが突然振り返って声をかけた
おーい、いつまでつけてんだ?何かするんじゃないのか?
っ!?ばれた?あれ以降さらに注意を払っていたのに
そう思っていると後ろのほうから誰か現れた
ごめんなさいですぅ
どうした?
ゼファーさんにここで脅かせっていわれたんですけどぉ周りは真っ暗でぇ、ティセ恐くってぇ
あーもー泣くな、俺たちと一緒にいろ
は・はいですぅ





ガサガサガサガサ
ッ!?なななななに?
あ?
ガサガサガサガサ
葉音は少しずつ近付いてくる
ティセはルシードの脇で震えている
ルーティが恐る恐る聞こえないような声で訪ねる
だだだだだれ?ゼゼゼファ〜?
突然真後ろから声がした
俺はここだぞ
きゃああああぁぁぁぁぁ」「はわわわわ〜〜〜
ルーティとティセは同時にあさっての方向に駆け出した
ふっ作戦成功
ゼファーはいつのまにかルシードたちの後ろに現われていた
アホか!それは肝試しの脅かし方とちげーだろ って それよか何やってんだバーシアは
ゼファーの手はバーシアの首根っこをしっかりと抑えていた
うっさいわね、サボろうとしたらバレたのよ
あ?そんな事しようとしたのかよ、ゼファーの性格知ってんだろ
ところでルシード、マックスを見なかったか?
いや、抜かれた憶えはないが

ガサガサガサガサ
ところで前から来るのは誰だ?
何だ?お前と共同で脅かしに来た奴じゃないのか?
そんな訳無いだろう、脅かし役は俺とティセだけだ
声が聞こえてきた
くーん、ビセットくーん
こりゃフローネの声だな
あれ?ルシードさん、ビセット君見ませんでした?
あ?あいつどうしたんだ?
えっと、ビセット君落ち着きが無くて恐がっていたようで少しこの山に伝わるお話をしてあげたんです
・・・ホラーだな
・・・はい
逆効果じゃねーか
そ・そうなんですけど、その どうしても話したくって
ふむ、それにしてもマックスはどこに?
このタイミングで出て行くことにした
あれ?みんな集まってどうしたんです?
お前、まだ後ろに居たのか?ゼファーが通ったの分らなかったのか?
マックスが返事をする直前に遠くで悲鳴が聞こえた
はわわわわぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜
ティセッ!?
ルシードはすぐに声のした方向に走っていってしまった

ゼファーは落ち着いて指示を出す
全くルシードは・・・仕方ないパーティ変更だ、バーシア
ん?
お前はルシードの後をすぐに追え
な・なんであたしが
フローネでは追いつけまい、・・・それに断ればあの酒は
あーはいはい、行きますよ
それとこの通信機を持っていけ、俺は頂上に居るようにするから
開けた場所からなら通信可能だろう、何かあったら連絡をくれ

りょーかい
言いながらルシードの消えた方向に駆け出していく

それとマックスとフローネは 大丈夫だとは思うがビセットとルーティを探してくれ
大丈夫ですか?フローネさんについてもらったほうが
心配するな、それと捜索にはフローネの能力が必要だろう
分りました、お気を付けて 行きましょう
そうですね
大捜索が始まった


少し時間はさかのぼる

突然聞こえた声に驚き 走り出したティセだったが
すぐに疲れてしまい ルシードご主人さまのところに帰ろうとしたが道に迷ってしまっていた
ふと見ると弱ったウサギを仔犬達が追い掛け回していた
それを見た直後ティセとは思えないスピードで
ティセらしい行動を取っていた

弱い物いじめしちゃだめですぅ
ティセは群れに飛び込んでウサギを抱きかかえた
もう大丈夫ですよぉウサギさ〜ん    はわ?
ティセが顔を上げると 牙を剥き出しにした山犬が数匹ティセを睨みつけている
はわわわわぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜
ティセッ!?
ご主人さま〜〜〜〜〜
ティセはルシードの声のする方向に逃げ出した
ウサギをしっかりと抱きかかえたまま


ティセ!大丈夫か?
ご主人さまぁ〜
くそっこの犬!
とっさに2,3匹を風の魔法で吹き飛ばす
油断ならない敵が現われ遠巻きに囲み遠吠えを始めた
その声で少し山犬が増えたようだ

ティセ!その抱いてるウサギ?
犬さんにいじめられてたですぅ
バカッ放せ、あいつらそれを取り返そうとしてるんじゃないのか?
だめですぅ ウサギさんが可愛そうですぅ
ちっ
あきらめたルシードが剣に手をかける
犬さんもいじめちゃ駄目ですぅ
ったく、お前はどーしたいんだよ!?
抜きかけた剣を収め 風の魔法で牽制すると ティセを抱えて走り出した

ルシード、ティセ 大丈夫?
バーシア!今からできるだけ時間稼ぎしながら頂上に向う
先回ししてこいつらをどうにかできるようにしておいてくれ

え!?あ、了解
一瞬で指示を出し、ルシードは一目散に駆け出した、山犬たちもルシードの後を追いかけていく
ウサギさ〜ん もう大丈夫ですよぉ、ご主人様がいますからねぇ
ティセはルシードの腕の中でのんきにウサギと戯れていた


その時マックス&フローネ班はルーティ、ビセットを探していた
ビセットくーーん、ルーティちゃーーん どこいったの〜〜?
ビセットとルーティの反応はなし、もう一度呼びかける
ビセットくーーん、ルーティちゃーーん どこ・
〜ッ!? しっ
マックスがフローネの口に手をあてた
静かに、動かないで・・・茂みの向こうに何か・・・いる・・・

ガサッ



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