アイザック・アーセニック来襲



それじゃ、このメモ頼みますね
えぇ、今日中に本部に申請しておくわ
弓矢の訓練で減った備品の補充をメルフィに頼んでいるところだ
他の訓練室の備品はメルフィが管理しているのだが
この備品はまだ把握できていないのでマックスが直接管理していた

プルルルル プルルルル プルルルル
あら、こんな時間に珍しいわね 誰かしら
ガチャ
はいもしもし
受話器の向こうから低い声が聞こえて来る
BFの事務所だな?
はい、そうですけど・・・どちら様ですか?
マクシミリアン・アーセニックを出してもらおうか
あの・あなたが誰かわからないのに用件だけ言うのは失礼じゃありません?
ふんっ・・・俺の名はアイザック
ア・アイザック!?

思わずメルフィが聞き返してしまった
それを聞いたマックスはすぐに受話器をメルフィから奪う
アイザック 何の用だ!?
おぉ 弟よ、本当にそこにいたんだな、久々に声が聞けて嬉しいぞ
だから何の用だ?世間話をするほどこっちは暇じゃないぞ
久々に話をすると言うのにつれないな弟よ
黙れ!あんな事件を起こしておいて、よくも のこのこと電話などよこしたな
事件?・・・あぁ脱走ならお前のほうが先にしたではないか
俺は・・・脱走じゃない、出してもらったんだ。あんたは人も殺して・
やっぱりお前の脱走はあのネズミが裏から手を引いていたのか
始末しておいて正解だったようだな

なっ!?お前 学長まで殺したのか?
ふん、将来有望な生徒一人を外へ逃がしたのだ、当然だろう?
大体 力もないくせに影でこそこそと・・・


その人殺しが俺に何のようだ?
くっくっく・・可愛いねぇすぐに点火しやがる
今からバードソングリバー上流、東駅から2qのところに来い

分った・・・今すぐ行ってやる
まぁそんなことは無いだろうが、来なかった場合や仲間を連れてきた場合
BFには消えてもらうぞ・・・それじゃあ またな弟よ ガチャ


ちぃっアイザックめ!!
ガチャン
受話器を叩きつけ事務室を出て行こうとする
ど、どこに行くの?
メルフィが慌てて呼び止める
それは・・・言えません、みんなにはすぐに戻ると伝えて置いてください


指定された場所に歩いていくと すでに人が待っていた
よく来たな弟よ
アイザックはゆっくりとマックスの方を向きながら話し掛けてくる
こんなところに呼び出して何のようだ?アイザック
俺の下に返って来い
・・・イヤだ・・・と言ったら?
・・・腕ずくでも
やってみろ
瞬時に矢を番えると3連射した
アイザックも剣をすばやく抜くと全てなぎ払う
やっぱお前のほうが暗殺向きの武器だよ・・・当たればな
くっ、なめるなぁ


くそっダ>か
弓とナイフでいろいろと攻撃を加えるがすべてアイザックに読まれ避けられていた
パチパチパチ
ずいぶんとできる様になったな、兄さん嬉しいぞ ますますお前の力が欲しくなった
例え死んでもあんたには手を貸さない
お前の仲間を殺すぞ・・・と言ってもか?
な?
お前のような奴はなぜか自分の命よりも他人の命の方が大切らしいからな、どうだ?
たとえ刺し違えてでもあんたを殺す
それは無理な相談だぞ、体術だけでこれだけの差があるんだ、お前は俺より下だ
ちから能力を使えば・・・俺にだって刺し違える事ぐらいできる
それも無理だ、俺はお前の能力を把握しているが・・・俺の能力はそんなものではないぞ
何?
例えばだ・・・お前が毒霧を使ってきたとしよう・・・
俺はマジックウォール魔力障壁を空中に張って防げる、お前にはまだできまい?

おそんなこと出来る訳・
ハッタリかどうか・・試してみるか?
アイザックが一歩前に出る
くっ
その気迫に押され少し距離をとる

それにお前にはこんな事もできまい
そういうと手のひらをマックスに向ける
その手から火球が飛び出してくる
とっさに横に避けて交わす
火球は水面に当たりかなりの水を蒸発させた
な!?
基本的な魔法も根本的にレベルが違う、回復や補助・障害も完璧だ
馬鹿な!?俺たちの能力は副作用的に通常魔法は使えないのに
それは俺にとって昔の話だ・・今は違う

もう一度言おう、お前の仲間が大事ならば・・・俺の下に来い
・・・・・・・・・・・・に・
マックス!そいつの言う事を聞く必要は無いぞ!!
ルシードの声に振り向くと土手の上にBFのみんなが集まっていた

オレたちゃこんな奴に負けるつもりはねぇ、逆に返り討ちにしてやる
弟よ、約束を破ったのか?
ち・ちがう・・これは・・・
ふん、ま・いいだろう、今日は挨拶程度で済ませるつもりだったからな 今回は引こう
逃げるのか!!
ルシードが土手を駆け下りながら叫ぶ
くっくっく、威勢のいいガキだな、見逃してやろうと言っているのだよ
アイザック・・・
オレもこの後結構予定があって忙しい、そうだな・・・数ヵ月後にはまた戻る
その時には良い返事を期待しているぞ。またなBFの諸君


突然巨大な竜巻が起きて風と共にアイザックの姿は消えていた


マックスはさっきまでアイザックのいた方向を虚ろな目で見ていた
マックスさん・・・
フローネが心配そうに見守る
おら、元気出せよ!時間ができたんだから特訓すれば良いじゃねぇか
ルシードはマックスの肩を叩きながら励ます
そう・・・ですね、やるしかないんですね


正直アイザックとの力の差は歴然だった
アイザックの下についたほうが楽かもしれない
でもBFのみんなとなら何とかできるんじゃないか、とも感じていた

でも
『何か悲しい事が起きるかもしれない』
そういう気持ちがいつ何時になっても心の中にこびり付いて離れなかった


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