スナイパー



・・・27,28,29・・・30 ふー終わったー
ペンチプレスを終えたビセットが息をつきイスの端に腰掛ける
そこにはすでにバーシアが陣取って眠りこけていた
おら、ビセット 次ダッシュ10セットだぞ、早くしろ
ダミー訓練をしていたルシードが声を上げる

ビセットは当番サボり&訓練中の事務所脱走がばれて罰訓練を課せられていた

ちょっとまってよ〜、今終わったばっかりなんだから少しは休ませてよ〜
だめだ、時間無いんだから、気合で乗り切れ
もうその言葉には乗らないよ、今日だけでももう10回は聞いてるよ
いつのまにかルシードはビセットの前まで歩いてきていた
いいからやれ、それとバーシアいつまで寝てる気ださっさと訓練しろ
バシッ
いった〜ぃ、なにすんのよ〜、さっきからうるさいわねぇ
お前も寝てばっかりいないで訓練しろよ、もう2,3時間はねてるぞ
なーに言ってんのよ、まだ1時間半しか経ってないじゃないの
アホか、訓練時間中に1時間も寝てんな
あーはいはい、解りましたよ、やれば良いんでしょ?やれば
バーシアがブツクサ言いながらペンチプレス台に着いた時 放送がかかった

新市街サンセット銀行で事件が起きました、すぐに食堂に集まってください
繰り返します サンセット銀行で事件発生、至急食堂に集まってください


おっ、事件ね、あ〜残念だなぁ、せっかく訓練しようと思ったのに
あ〜もういいからさっさと行くぞ


事件は10分前、新市街サンセット銀行にて銃器を所持した男数名が乱入
職員らを人質とし銀行の社長の首を要求しているわ
どうやら銀行がお金を貸さなかったせいで会社がつぶれたそうよ
要求が受け入れられない場合人質全員を殺した後自分たちも死ぬ、と
これに対してBFに出動要請が出されました

で?
ルシードが先をいう前にビセットが口を挟んだ
いいじゃん、魔法絡みじゃなくてもさ、みんな困ってんだよ
さらにメルフィが付足す
この事件が起こる前1時間の間に3件もの事件がほぼ同時に発生し
1捜はもちろん2捜の半数と3捜のほとんどが出払っているんです
この事件は4捜と2捜の一部で行なう事になります


結局ルシードがすぐに折れる事になった
わーったよ、んじゃ、BF出動だ
了解



現場ではすでにファラ・ビノス室長が待っていた
「遅いわよアトレー室長」
すまねぇな、で 今どんな感じだ?
悪びれもしないルシードだが、ビノス室長も少しも気にかけていないようだ
「状況はかなり悪いわね、犯人は非常に興奮していて
説得は続けているけど・・・おそらくダメ・・・でしょうね」
んじゃ突入でもするのか?
「それも危険ね、そうさせないようになのか犯人は一箇所に固まらず
3人とも銃を手にしていつでも引き金を引ける体制になってるのよ」
3人?意外と少ないんだな、それなら一気に全員狙撃とかできんだろ?
「いま狙撃手が一人しか到着してないのよ、もう少ししたら後2人来る予定なんだけど」
ビノス室長ならできるんじゃないのか?
「えぇ、できるわ」
ルシードの軽口に さも当然のように一瞬で答える
「でもそれじゃ結局一人足りないし、本職に任せた方がいいわ」

なーマックス、マックスなら狙撃できるんじゃない?
まぁあの銃にあてるぐらいなら出来るでしょうね
ビセットは小声で訪ねたのだがビノス室長には聞こえていた
「あなた、腕前はどれくらい?」
単刀直入にマックスに訪ねる それに答えたのはビセットだった
リンゴ射抜いたよ ど真ん中に
「射抜いたって・・・そう・・・あなたが・・・でも弓で狙撃させる訳には・・・」

ビノス室長が少し迷っていると突然銃声が聞こえる
犯人たちは相当興奮し始めていた
「ちっ、説得に失敗したようね 時間が無いわあなたにも狙撃してもらいます」
解りました、僕は誰を狙えば?
「一番手前にいる奴の銃を叩き落して頂戴、あなたの腕前 見せてもらうわ」
そういうとビノス室長は部下から狙撃銃を受け取り適当な場所を見つけ構える

「あなたはカウントダウンの終わる直前に発射して頂戴」
了解
二人の短い確認の後 カウントが取られる
マックスもすでに構え集中している
「3・2・1・」

ビュッ
パァーン

矢と銃弾が放たれる
犯人たちの持つ銃器はみな吹き飛ばされ 同時に保安局員が突入した
2人はすぐに捕らえられたが
比較的出入り口から離れたところにいた男が隠し持っていた銃を取り出し構えた
パァーン
犯人が持っていた銃はさきほどと同じように弾き飛ばされた
すかさず保安局員がそれを捕らえる

お見事、さすがビノス室長
ルシードが手を叩きながらほめていた
「これくらい訓練次第で誰にでも出来るわ、それとアーセニックご苦労様 見事なものね」
いえ、こっちも訓練次第ですよ

うわーーーーーー
突然銀行の方から悲鳴が聞こえてきた
パトカーの脇で保安局員が火ダルマになって転げていた
その側では先ほどつかまったはずの男がなにやら叫んでいる
みんな死ねばいいんだァァァ死ね死ねしねしねぇぇぇぇ
そう叫びながら辺りを火の海にしていく
ちぃっ魔法能力者かっ!
ルシードは舌打ちすると男に向かって駆け出した
それに気づいた男はルシードに向けて火の魔法を唱える
「フレイム」
ルシードは避けている暇は無いと手で顔を防御し突っ切ろうとした

スプラッシュ
フローネの発した水の塊りが迫り来る炎をかき消した
な!馬鹿!魔法使用許可は取ってないんだぞ
とっさにルシードは後ろに怒鳴ってしまう
その隙を男が逃すはずも無くさらに隠し持っていた銃をルシードに向ける
ルシードはとっさの事で反応できないでいた
ガンッ
なっ!?
次の瞬間には銃には矢が刺さっていた
男が驚いた隙にルシードは腕を掴み
その直後男は空を飛んでいた
ドサッ
観念しろぉ!!
ルシードは対魔法能力者用の手錠をかけた



おいメルフィ、あれは正当防衛だろ始末書扱いってのは無いんじゃないのか?
手続きは取りますが、今は一応書いてもらいます
BFは事件も片付き事務所へと戻っていた
そこでフローネが魔法の無断使用の始末書を書かされていた
いいんですよセンパイ、解っててやった事ですから
トゥルルルルルル トゥルルルルル トゥルルルルル
あら?電話ね、誰かしら
メルフィが慌てて電話に出た

あら、ビノス室長
・・・
はい
・・・
はいルシードさんですね今代わります

メルフィが受話器をルシードに渡した
ビノス室長からです


ルシードだ
「今日の事件はご苦労様、助かったわ」
相手が魔法能力者だったんだうちの管轄なんだから当然だ
「ふふっ相変わらずね、それとアーセニックにも例を言っておいて頂戴」
わかった
「それとあの時の魔法の使用について、正当防衛ということにしておいたわ」
お、本当か?あのタヌキ納得したのか
「させたのよ」
さすが雌豹だな、おれも見習いたいもんだね
「ふふっ ありがと、それとパクストン室長から伝言よ」
なんだ?
「今日一人の捜索願が出たそうなの」
それをBFが探せって言うのか?んなのうちの仕事じゃねーだろ
「最後まで聞きなさい、せっかちな男は嫌われるわよ、まぁ一応そういうことなんだけど
その捜索願の出された男が特殊らしくてね
『魔法能力者専門学校』というのを聞いた事があるかしら?」
魔学・・・か?
「へぇ知っているのね、それなら話は早いわ、そこの一人の生徒が
今日そこの学長と門番を殺して脱走、現在行方不明よ、えっと名前は確か・・・」
・・・
「あ、あった、えっと・・・『アイザック・アーセニック』ね」


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