第02話「魔力障壁の恐怖」


ガァァァーーーーーーーーーーー

BFが現場に到着した時、すでにそこはかなり荒れていた
魔物のすぐ周囲の建物は破壊され瓦礫の山となっている

BFは魔物を見定めるとすぐに戦闘態勢になる
同時にルシードが通信機を通じてメルフィに魔物の特徴を教えた
魔物の種類と弱点がわかれば戦闘がしやすくなるからだ


魔物には当然魔法が有効である
そのためのBFだ
そこでルーティが風の魔法[ブラスト]を
フローネが水の魔法[スプラッシュ]を放つ

魔物の動きは鈍く両方の魔法がまともに魔物にヒットした

はずだったが
目の錯覚か魔法がはじけたように見えた

フローネはもう一度魔法を放った
今度はよく見えるように出来るだけ弱く、速度も遅くなるようにだ

バシュッ

今度は全員の目に魔法がはじかれるのが見えた

魔力障壁とか言うやつか・・・?
ルシードは呟いてすばやく指示を出す
ビセットとバーシアは俺と接近戦を仕掛けるぞ
フローネとルーティは後方で補助と回復を頼む

了解

その声と同時にルシード、ビセット、バーシアは走り出した
フローネは後ろから3人に補助魔法をかける





魔物との戦闘は膠着状態に陥っていた
はっきり言って魔物の動きは鈍くほとんどガードできる
さらに魔物の力は強く無く仮に当たっても急所は避けられるので
それほど大きなダメージは受けなかった


硬かった
ひたすらに硬い
補助魔法で攻撃力を上げたルシードの剣もバーシアの槍もビセットの拳も
魔物にはほんの少しもダメージを与えられていない

ただ3人で魔物を囲みながら攻撃を避け
ひたすら無駄な攻撃を仕掛け そしてはじかれる
魔物も魔物で知能が低いのか無駄な攻撃を続けている
双方ともに ただそれを繰り返しているだけだった

戦闘を始めて2,3分経ち
メルフィから『魔物の正体が分った』と通信が入る
『この魔物は大きな弱点を持っている』と聞いたとき
これで戦闘が終わると誰もが考えた
がメルフィの言葉はそんな期待を一撃で打ち破るのに十分だった


その魔物はすべての攻撃魔法にとても弱いわ


この落胆がBFに大きな隙を作った
ビセット、ルシードが立て続けにまともに攻撃を受ける
腹に直撃を受けた二人は一瞬その場にうずくまる

そのスキに魔物は囲いを破り
後衛に向かって突進してきた
遅いとは言っても
亀のごとき遅さ という訳ではない
並くらいのスピードはある

ルーティはすぐにその場から移動したが
フローネはメルフィに詳しく事情を説明していたため逃げるのが遅れた

ルシードたちならガードすればそれほどでもない攻撃も
フローネ、ルーティは致命傷になりかねない
普通に喧嘩をして強いわけではないのだ

バーシアは必死に槍を伸ばし魔物を止めようとしたが簡単にはじかれる
すぐにフローネのほうに駆け出したが
出だしが遅れた
間に合う距離じゃない

ルシード、ビセットも腹を抑えながら
フローネのほうに駆けるがバーシアよりも遠い

フローネはとっさにスプラッシュを放つ

魔物は一瞬ビックリしたようにスピードを緩めたが
魔法がはじかれると、またすぐに迫ってくる

ん?
ルシードは一瞬この光景が奇妙な物のように感じたが
今は迷っている時ではないと判断しすぐに走り出した

フローネは右の方に移動しながら再度スプラッシュを放とうとした



魔力が手に集まってこないのを感じた
短い時間とはいえあらゆる補助・障害魔法を試していたため
魔力が尽きてしまったのだ

焦りと魔力が空になった疲労でフローネは足がもつれてその場に座り込んでしまった

容赦なく魔物は目の前に迫ってくる

フローネェ
バーシアが叫ぶがどうにもならない
魔物との差はさっきより縮まったものの
先にフローネのところに行く事は出来ない

魔物はすでにフローネのすぐ前にきていた

キャァァァーーー

ビュッ

魔物の眼前を何かがすごい勢いで通り過ぎた


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