CLANNAD「智代4 創立者祭」


悪い 待った? 俺は小走りで近付く
彼女はうつむいていた顔を上げ 俺の顔を見ると少し微笑んで
智代「いや、今来たところだ」

そしてすぐに俺を咎めるような目になっていき・・・

智代「・・・とでも言うと思ったか?」
朋也「いやぁお約束かなぁって」
智代「時間通りに来てくれればそうも言うが・・・」
朋也「わりぃ」

既に約束の時間を20分オーバーしていた

智代「ったく、やはり無理矢理にでも起こしに行ってやるべきだったか?」
朋也「や いーって、生徒会の方の仕事もあったんだろう?」
智代「まぁ見ているだけだ、引継ぎは終わっているからな」
朋也「あれ?でも共同作業なんじゃなかったっけ?」
智代「当日からは新生徒会のみで運営していくんだ」
朋也「そうか、んじゃ今日は・・・」
智代「あぁ、時間が惜しいからさっさと行くぞ」
朋也「あいよ」






朋也「どうした?まだ気になるのか?」
智代「それはそうだろう?私たちの仲が否定されたんだぞ」
朋也「否定って・・・単なる占いじゃないか」
智代「占いだからこそ、良い事を言うべきじゃないのか?」
朋也「ん〜〜〜〜・・・・・・・・・俺の友達にさ、占い好きなのがいたんだよ」
智代「ん?」
朋也「その占いはすっごく具体的なんだけど・・・ぜんっぜん当たらないんだ」
智代「凄い占いだな」
朋也「んで、その事をポロッと言っちまったことがあってさ」
智代「ヒドイな」
朋也「いやちょっと弾みで・・・って話の腰を折らんでくれ」
智代「あぁ すまん」
朋也「で、そいつが言ったんだ『占いで全てが決まっちゃツマラナイ』って」
智代「はぁ・・・」
朋也「占いで未来が決まるんじゃなくって・・・なんて言ってたかな・・・」
智代「・・・つまり詳しくおぼえてはいない・・・と?」
朋也「そうとも言う、つまり――まぁ・・・何となく解るだろ?」
智代「・・・・・・そうだな 解る気がする」
朋也「んじゃお悩みも晴れたところで、次行こうぜ」
智代「あぁ」

そう言って二人で歩き出  

美佐枝「岡崎に坂上じゃないの〜」

  そうとしたら呼び止められた

朋也「美佐枝さん?」
智代「あ、お久しぶりです」
美佐枝「そうねぇ〜・・・にしても・・・」
朋也&智代「?」
美佐枝「あんた達いつの間に・・・」
朋也「はは・・・実は去年も一緒のところで美佐江さんに会いましたよ」
美佐枝「へ?だって去年一緒に居たのは・・・」
朋也「はい クマです」
美佐枝「えぇ!?あれ坂上だったの!?」
智代「・・・一応は・・・」
美佐枝「そっかぁー んじゃお礼を言いそびれてたわね」
智代「や  
美佐枝「いいのよ、私が言いたいんだから・・・アリガトね」
智代「ど・・どうたしまして・・・」
朋也「ところで今日も?」
美佐枝「えぇ、今日も何かそわそわしているようだったからね
逃げ出す前に連れて行こうと思って」
朋也「良いことっすね、ソイツ 嬉しそうですよ」
美佐枝「そう?眠そうなだけに見えるけど」
朋也「嬉しくて、安心してるんだよ」
美佐枝「ふぅん」
智代「智也には・・・もしかしたらそっち系の仕事が合うのかもな」
朋也「ん?どんな」
智代「動物関係、獣医とかトリマーとか」
朋也「まさか、俺は動物には好かれないと思うぞ」
智代「意外にやれば似合っているかもしれないぞ」
朋也「ん〜」
美佐枝「ふふっ、んじゃお邪魔虫は消えようかね」
朋也「あハイ」
美佐枝「どっか空き教室でもみつけてくるわ」
智代「あ、それなら・・・」
生徒会でもあった智代が空き教室の場所を教える
美佐枝「ん、ありがと・・・んじゃ仲良くね〜〜」




朋也「んじゃまた一回りするかね」
智代「そうだな」




暫く2人で学園内を歩く
模擬店で微妙な昼食を食べ
冷やかしで妙な出店に顔を出し

進学校のお祭だけあって内容はしょぼい
だが2人で回っていると言うだけで何故か楽しかった


そんな2人の空間に割って入る人物が現れた


男子「坂上・・・」
朋也は見覚えがあった
幾度となく朋也の前に現われた・・・あの男だ・・・
智代「お前か、何か用か?」
男子「坂上、本当に落ちちまったんだな」
智代「何のことだ?」
男子「<ふざけるな!何でこんな男と一緒にいるんだよ!
智代「お前には関係ないだろう?」
男子「くっ、お前!!
智代と言い争っても勝てないと思ったのか今度はこちらを向いた
男子「お前にも散々言ったはずだ!足を引っ張るなと
智代「おい、智也には―」
朋也「いいんだ、コイツは俺と話したいらしいからな」
男子「何度言ってもわからない大馬鹿なのか!お前は」
朋也「なぁ?」
男子「なんだ!」
朋也「お前、智代のこと好きだろ」
男子「そんな低俗な気持ちではない、俺はただ坂上が上に行くのを見ていたい、そういったはずだ」
朋也「言ってたな、でも何で智代なんだ?」
男子「あぁ?」
朋也「お前は智代のことが好きなんだろ?自分は上に行く、だから智代にも来て欲しいんだろう?」
男子「ふんっ、どうしても俺を低俗な言葉で当てはめたいらしいな
まぁ好意を持っていることは変わりはない、智代とその才能に」
朋也「なら単なる三角関係、俺は引く気はないね」
男子「なっ・・何だその無茶苦茶な理論は!?
朋也「何か異論でも?」
男子「お前!もしかしたら智代が日本のトップに立つチャンスを邪魔しているかもしれないんだぞ!!」
朋也「そうかぁ、俺はさしずめ日本の成長を邪魔する悪人だな」
男子「あぁ、そうだ」
朋也「でも、もしかしたら俺とくっつく事で世界を救う英雄になるかもしれないぜ」
男子「な・・・何を言っているんだお前は」
朋也「未来の事なんてなんも解らねーんだろ、なるかもしれないじゃないか」
男子「んなことあるわけがないだろ!
智代「ふっ、お前の負けだな」
男子「こいつが単に俺と会話をする知能を持っていないだけだ」
智代「お前が朋也と会話をする奇抜さを持っていないのかもな」
男子「そんなもんいらん!お前こんな馬鹿と行く気か?」
智代「あぁ、こっちで世界を救う方が楽しそうだからな」
男子「くそっ、坂上も落ちたもんだな!」
智代「悪いが、私は元々こっち側の人間さ」
男子「ちっ」

男は短く舌打ちをすると肩を揺すりながら廊下を歩いていった

朋也「さーて、次はどこいくかねぇ」
智代「朋也も・・・変わったな」
朋也「ん?」
智代「前はあの台詞でノックアウトだったのにな」
朋也「知ってたのか?」
直接聞かれた事は無かった気がしたが・・・
智代「まぁな、お前のあの時の態度を考えれば解るさ」
朋也「俺も社会人になって、余裕が出てきたのかもな・・・なんかあいつがガキに思えてな」
智代「そっか・・・ま、あいつの事を気にしててもしょうがないしな、次いくか」
朋也「外を回るか」
智代「ん」



智代の守った桜並木へと来ていた
去年食べ損ねたアイスを持って
まだ創立者祭は終わっていない為にここには人が少ない
そんななかをゆっくりと歩く

智代「もう・・・1年か・・・」
朋也「なんかあっという間だな・・・」


2人の間の時間がゆったりと流れていく


まばらにいる人も気にならない


ゆっくりと木々の間を風が抜け


葉音だけが聞こえている


智代「朋也・・・」


朋也「ん?」


振り向くとすぐ傍に智代の顔がある


その唇にそっと自分の唇を重ねる


それほど長い時間ではないはずだが、それは永遠にも感じられた



朋也「どうした?突然」
智代「朋也・・・・・・今日・・・いや、今から・・・家に行ってもいいか?」
朋也「え・・・それって・・・」
智代「いいのか?ダメなのか?」
朋也「良い!全然良い!!
智代「そうか、良かった・・・やはり自分から言うのは勇気がいるな」
朋也「・・・俺から言うべきだったか?」
智代「・・・・・・いや、いい・・・朋也が言うとムードも何も無いからな」
朋也「・・・・・・・・・今の・・・ムードあったか?」
智代「・・・・・・・・・・・・少なくとも出だしは良いと思ったんだが」
朋也「あ・あぁ、確かに出だしは・・・それを崩したのは・・・」
智代「朋也だな」
朋也「そうかぁ?」
智代「ふふ、まぁいいじゃないか、あの日の・・・1年前の続きだ」
朋也「おう って冷たっ!」
智代「アイス、垂れてるぞ ったく最後まで締まらない奴だな」
朋也「ほっとけ、話してたら食うのを忘れるのはしょうがねーだろ」
智代「そうか?私のは既に無いが」
朋也「早っ!?いつの間に?」
智代「朋也がトロイだけだろう っとまた垂れるぞ」
そういうと俺のアイスを咥えてきた
朋也「うっ・・・(こ・こいつぁ)」
智代「?どうした?変な声出して」
朋也「うおぉぉぉぉぉぉぉ(さらに上目使い!?色っぽい!!)」
智代「ど・どうした?そんなに自分で食べたかったのか?」
朋也「智代!早く家行くぞ!
智代「は?アイスは?」
朋也「んなもん後だ後!!
智代「後も何も跡形もなくなるぞ、だいたい私はまだHR(ホームルーム)が」
朋也「えぇ〜い、今回のは智代が悪い」
智代「わ・訳が解らんが・・・ま、HRぐらいどうでもいいか」
朋也「そう!その通り!」
智代「だが・・な・・・朋也・・・」
朋也「?」
智代「我を忘れて変な行動はとるなよ・・・その・・・私だって・・・その・・・初・・め・・・」
朋也「くぅ・・・(うぉっ!?ここに来て初々しい表情だとぉ!?)」
智代「ほ・本当に大丈夫か?」
朋也「あぁ、力の限り、頑張るぞ」
智代「そ・そうか・・・なんか不安だが・・・」
朋也「さぁ行こう、そら行こう、やれ行こう」
智代「言ってる側から・・・まぁ・・・待たせすぎた私も悪い・・・のかな・・・」
朋也「ふー ふー ふー ふー ふー
智代「・・・・・・・・・・・・(ったく) そうだ、先に行っておくが」
朋也「ふー ふー ふぃ?」
智代「私は40度程度の高熱が出た時・・・つまり絶不調時でも手刀でバットをへし折れるからな」
朋也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肝ニ銘じておきマス」
智代「頭は冷えたか?」
朋也「はい、すっきりと」
智代「まぁ冷静なら構わん、さっきのお前は何するか解らないほど危険に見えたからな」
朋也「ははは・・・」
智代「ったく、せっかくの日だっていうのに、結局ムードと言う物は消えるんだな」
朋也「まぁ、俺等らしいってことじゃないか?」
智代「そうかもな・・・この学校にきた当初の目的は果たせず・か」
朋也「いいじゃねーか 後悔してるのか?」
智代「不思議な事に、ちっともしてないな」
朋也「そっか」
智代「あぁ、これからも、よろしく頼む 岡崎朋也」
朋也「こちらこそ 坂上智代」


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