CLANNAD「杏 明日へ」


朋也「好きだ お前のそばにいたい」
杏「朋也――」











朋也「帰ろうぜ、一緒にな」
杏「・・・うんっ」



次の日


朋也「昨日の大イベントもなんのその・・・か・・・」

寝坊した
既に2時間目が始まっているだろう
(まぁ・・・)
朋也「顔合わせにくいよなぁ・・・」
つい呟いてしまう

当然 椋の事だ
椋と思って気合を入れて全部話したのに・・・杏だった
ということは、椋とは何の決着もついていないということだ
ぺーぺっぺっぺっぺっぺ
杏をあんな風にさせたっていう事は、椋なりに諦めたって事なんだろうけど・・・
ぺっぺっぺっぺっぺ
自分自身でしっかりと話をつける必要があると思う
ぺっぺっぺっぺっぺ ビービーーービーーー
でも・・・昨日の出全てを振り絞った感があってなぁ
杏「って!気付きなさいよ!また轢かれたいの!!
朋也「うわぁ!?
杏「な〜に ボーっとしてんのよ」
朋也「杏か・・・」
髪が短くなった杏がバイクにまたがっている
・・・やっぱり昨日の事は嘘じゃないんだよなぁ・・・
杏「ん?何?」
朋也「いや、俺たち付き合ってるのな?」
杏「な・な〜に言ってるのよ 当ったり前でしょ」
朋也「だよな・・・っと」
杏「・・・何してんの?」
朋也「2ケツで登校しようとしてる」
杏「だーめ、降りなさい」
朋也「付き合ってんだからいいじゃねーか」
杏「ダメ、タイヤが傷むでしょ」
朋也「彼氏よりタイヤですか・・・」
渋々降りると杏もバイクから降りてヘルメットをしまう
朋也「ん?」
杏「な・なによ?一緒に行くんでしょ」
朋也「あ・・あぁ」
杏はバイクを押して俺の横に並ぶ

朋也「髪・・・ホントに良かったのか?」
杏「ん〜?別に良いのよ、安いもんよ このぐらい」
朋也「でもなぁ・・・」
杏「別に『髪は女の命』っても死ぬわけじゃなし、いずれ伸びるわよ」
朋也「・・・」
杏「それに、育毛剤もつけたし」
朋也「はぁ!?
杏「ん?何よ?」
朋也「あの・・髪が薄くなってしまった方々がつける?」
杏「そーよ、悪い? 用途は合ってるでしょう?」
朋也「や・・・まぁ・・・でも、買ってる姿とかは想像したくない・・・」
杏「そーねぇ、そんなの私もゴメンかなぁ」
朋也「あ?」
杏「ウ〜ソ〜よ、本気にした?」
朋也「危うく幻滅するところだったよ」
杏「それは・・・困るわね、わたしは朋也の事好きなのに・・・」
朋也「う・・・ん・・・・・」
杏「朋也ってこーゆー話に弱いわよねぇ」
朋也「きょ・杏だって相当顔赤いぞ」
杏「あ・あたしは・・・熱、そう熱があるのよ」
朋也「ホントかぁ?」
杏「当たり前でしょ!?」」
朋也「どれ・・・」
黙って顔を近づける
コツン
お互いの息がかかるほど近くに杏の顔がある
朋也「ん〜・・・」
杏「・・・・・・」
朋也「少し・・・熱いかな」
そう言って離れる
杏「あ・・・」
朋也「ん?どうした?キスでもした方が良かったか?」
杏「バ・何言ってんのよ、ほらっ早く行くわよ、3限前には着きたいんだから」
朋也「へいへい」
お互い顔を背けて見せようとはしなかったが
きっと二人とも真っ赤だったんだろう・・・



キーンコーンカーンコーン
春原「こんにちは!!昼食いに行こうぜ」
朋也「ん〜そうだな」
首をめぐらすが椋の姿は見えない
春原「ん?委員長がいないな、どうなったんだ?」
朋也「あ――」
杏「朋也〜〜お昼食べよ〜〜〜〜
どよどよどよどよどよ
教室がざわめく
当然といえば当然だろうが・・・
春原「委員長・・・なわけないよな・・・」
生徒A「あれって姉の方だよね?」
生徒B「結局どっちなんだよ!両方か!?」
生徒C「それにしても髪まで切らせて、サイテーの二股ね!」
ちげーーーーーー!!!
朋也「(杏、何とか言ってやれ)」
杏「(いーじゃない、私が悪く言われてるわけじゃないし)」
朋也「(その分俺が目一杯悪者だーー!!)」
春原「ふぅん、ま、良かったんじゃないの?んじゃ1人身の俺は退散するかね」
朋也「ったく・・・ま、いーや、すぐに収まるだろ・・・メシ作ってきてくれたのか?」
杏「当然、それじゃ行くわよ」
朋也「おう」





「委員長が一緒じゃないんだから二股では無いんじゃない?」
「1日交代制度かもしれないわよ」
「サイッテー」
「委員長が振られたのかな、可哀想〜」
「もしかしたら委員長の方が手酷く振ったんだったりして・・・」

ウワサってのは勝手だな
3人は蚊帳の外でウワサだけが酷く一人歩きして成長している
てめーら受験勉強でもしてやがれ!!
杏「なーに変な顔してるのよ」
朋也「ん?・・・まぁこの雰囲気がな」
杏「どーせすぐに消えるわよ、朋也が陰口叩かれるだけでしょ?我慢しなさい」
朋也「でも椋の悪口言ってる奴もいたぞ」
杏「出てきなさい!!!バンッ
朋也「お・落ち着け・・・」



こんな調子ですぐに日付が変わっていく
結局椋との会話をする機会が無い
向こうも避けているわけじゃないんだろうが・・・
どうにも声をかけづらい感じがするのだ・・・

だが、必ず自分の口で言う必要がある
そう考えて機会を待っていた・・・
















朋也「椋・・・」
椋「はい」
朋也「ありがとう」
椋「はい 朋也くん、私もありがとうございました」



そうして俺たちはようやく友達に戻れたのだ
朋也「とりあえず、一緒に帰るか」
椋「そう・・・ですね」


杏「あら、遅かったわね」
朋也「あれ?待っててくれたのか?」
杏「当たり前でしょ、二人の大切な話し合いを邪魔する訳にも行かないんだし・・・」
椋「お姉ちゃん、ありがと」
杏「ま、その様子だと心配無かったようね」
朋也「あぁ」
椋「はい」
杏「それじゃ明日からは3人分のお昼を作りましょうか?」
椋「え?悪いよ3人分なんて」
杏「何言ってんのよ、椋も作るの」
椋「私も?」
杏「今から特訓しておいて損はないわ、せっかく途中までやったんだから完成させないと」
椋「そっか・・・うん、そうだね」


この瞬間から、二人も恋敵から姉妹に戻ったんだろう

また暫く

この三人で健やかに過ごせるのかもしれないな・・・

また新しいウワサは立つだろうけど・・・


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