CLANNAD「風子」


風子「おめでとう、おねぇちゃん」
公子「ふぅ・・・ちゃん・・・?」
ここにはいないはずの
遠い街の病院で眠っているはずの妹の姿が見える
私を祝福してくれている
そして、一つのプレゼントをくれた
木で出来た・・・あの子の大好きな、ヒトデ・・・

歓声がいっそう大きくなった気がする
その歓声の中に妹もいるような気がした
考えもしなかった祝福を受け校門を出る
思わず泣いてしまいそうになる
祐介さんが私の肩を抱く
祐介さんにも見えたのだろうか
ふぅちゃんの姿が



岡崎さんとも分かれ祐介さんと隣町へ
ふぅちゃんにお礼の言葉を言う為に
電車がホームに着き、駅を出たところで電話が鳴った
公子「はい?もしもし」

公子「ふぅちゃんが・・・どうしたんですか?

嫌な予感がして大きな声で聞き返してしまう
お礼も言わないうちに・・・
公子「えっ?」

電話を切ると同時に駆け出す
祐介さんは驚きながらもついてきた



公子「ふぅちゃん!!
風子「あ・・・おねぇちゃん、結婚おめ――」
公子「ふぅちゃんっ!!
ばふっ
思わず抱きついてしまった
どうして寝ていたはずの妹が結婚の事を知っているのか
考えるまでも無かった
さっきまで自分を祝っていてくれたのだ
岡崎さんと一緒に・・・
風子「おねぇちゃん・・・」
困った顔をしながらも私に身体を預けてきた
風子「おめでとう、おねぇちゃん」
公子「うん・・・うん・・・ありがとう、ふぅちゃん」



風子「どう・・・なのかな?」
公子「ん、大丈夫だって、後数回検査したら退院できるって」
風子「よかった」
公子「ふぅちゃんは、退院したらどうしたい?」
風子「ん〜と・・・学校に・・・行きたいです」
公子「そっか・・・」
風子「それで、告白するの」
公子「告白?・・・だれに?」
本当は何となく解ったけれど聞き返してみた
風子「解らないです・・・でも・・・背が高くて、格好は良くて・・・」
(うんうん)
風子「でも意地悪で、風子に悪戯ばかりして、邪魔をしたりして・・・」
(あら?)
風子「でも・・・・・・・・・」
公子「でも?」
風子「風子はその人が・・・大好きだったんです」
公子「そっか・・・頑張ってね」
風子「うん」



シュシュシュ
公子「あら?ふぅちゃん?」
病室にきて見ると木片を片手にナイフを動かしていた
風子「あっ!おねぇちゃん」
公子「へぇ、上手いわね」
風子「今までで一番可愛く作らないといけないから、気合入れてます」
公子「プレゼント?」
風子「・・・うん・・・」
公子「頑張ってね」
風子「うん!」



退院から数日後
学校へ復帰の手続きも終わり、明日からふぅちゃんも学校に通う事になる
これからだいたい休まずに出れば進級はできるとか・・・
ふぅちゃんはヒトデを彫り終わり、それを大事に鞄にしまっていた
少し不安の色も見えたけれど
きっと平気
岡崎さんが
あの学校の皆がきっとふぅちゃんを受け入れてくれる
そんな気がしている



風子「いってきます、おねぇちゃん」
公子「はい、いってらっしゃい」

元気にふぅちゃんが駆け出した

まだ見ぬ初恋の人のところへ

少し私のところから離れるようで寂しい気もするけど・・・

岡崎さんなら、大丈夫ですね




風子「風子と付き合ってください」
朋也「あぁ」
朋也はヒトデを受け取ると風子を抱きしめた
風子「あっ」
驚いて見上げてくるその口にそっとくちづけした
ぐー!!
手を精一杯伸ばして朋也から逃れる
風子「ぷちショックです!!
朋也「そう言われるとこっちも大分ショックだぞ」
風子「2度もファーストキスを奪われました」
朋也「その体験をした奴はきっとお前だけだぞ」
風子「だいたい岡崎さんは――」
朋也「その岡崎さんっていうのをやめようぜ」
風子「?」
朋也「恋人っぽくないだろ?」
風子「じゃあ・・・朋也?」
朋也「先輩を呼び捨てか・・・」
風子「失礼です、風子は元々は同級生です、むしろ精神的には年上といっても過言ではないです」
朋也「そっか、ま・呼び捨ての方が恋人っぽいか」
風子「・・・えっと・・・朋也」
朋也「風子」
二人の距離がまた近付く
??「熱い熱い、ったくお前ら学校の廊下でなにやらかしてんだよ」
朋也「なっ!春原」
聞き知った声で振り返ると
朋也「げ」
風子「うわっ」
ギャラリーが大勢出来ていた

朋也「風子、逃げるぞ」
風子「うん」


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