『ヒース独立記』第6話「」「・・・いるな」 ご主人が建物を見上げてポツリとつぶやきました 「にゃにがいるってーのよ」 「ふむ・・・アウラルが二人にアルリクが一人か」 「・・・にゃにそれ・・・」 ご主人のことをよく知らないレオナさんは分からないと思いますが ご主人の高性能ヴァーナ探知機に中の人物が引っかかったようです ちなみにこのレーダー、射程は半径50m 結界による空間断裂などの遮蔽を除いてどんな障害物でも無効化する恐るべき性能を持つのです・・・ ただし探知できるのはご主人のストライクゾーンの人だけですが 「さっきの部屋だ。中にはヴァーナが三人、俺のステキレーダーに引っかかった」 「・・・・・・信じていいにゃ?」 「もちろん。さて、どうするかだが・・・乗り込むか」 「早!?他にもやる事とかあるでしょう」 「やることね・・・・おお、そうだ身だしなみ身だしなみっと」 服装をチェックしだしたご主人にレオナさんが拳を震わせています そして、握られた拳がご主人の顎を打ち抜きました 「殴るわよ!」 「お、お約束だが・・殴ってから言うセリフじゃ・・・ない」 崩れ落ちるご主人その様子に私がため息をついたそのときでした 「誰だ!」 外の見回りをしていたのでしょう武器をもった男が私たちの姿を見つけて向かってきました 「しまったにゃ!この馬鹿がいちいちボケた行動するから気が散ってたにゃ」 「そうなのにゃ!どうにかするにゃ!レオニャ!」 「にゃとかいうにゃっていってるのにゃ!それに私はれおにゃじゃなくてれおにゃにゃ!」 「いや、どっちも変わらんし」 「にゃー!!」 「にゃ(いい加減にしろよ、この漫才コンビが)」 「うおっ、使い魔がキレタとりあえずどうにかしよう、どうにかするべきだ、うん」 「どうにかってどうやって!見つかったにょよ、仲間呼ばれるにょよ、捕まったら剥かれてうりとばされるにょよー」 「俺の場合はその場で殺されるんだろうけどねー」 「お前ら!いったい何なんだ大道芸の漫才なら町でやれ町で!」 目の前の光景に男も勢いをそがれたようです その隙に私は、男の背後に回ると首筋めがけて飛び掛り、パンチを食らわせました 「・・!?(ドサリ)」 無言のまま前へと倒れこみ気絶する男 「にゃにゃ(私の必殺の拳を受けて起き上がった人間は数十人しかいないのですよ) 「(それって結構いるんじゃないのか)」 「にゃ(黙ってろ、この馬鹿主人)」 「(・・・すんません)」 私とご主人が精神同調で会話をしている間に、レオナさんは男を縛り上げています 「今のがサモナーの秘技、ファミリアアタックだ」 「・・・うそつけ」 「ちなみに技名は『必殺ぷりてぃにくきゅうぱんち五号☆』だ最後の☆が重要だぞ、まぢで」 「ああ!どうしてこんにゃにょと一緒に仕事をしにゃくちゃにゃらなにゃいのよ」 レオナさん・・・それに関しては同情します 「っと、声でも上げられたら面倒だ猿轡でもしてそこら辺に隠しとけ」 「分かってるにゃいざって時にはこいつをもってかえるにゃよ」 「できればこんなおっさんの持ち帰りはしたくないけどな」 「あんたって奴は・・・」 うめくレオナさんを放って、ご主人は地図と建物を見比べていました 「・・ふむふむまた見つかるとめんどくさいし、ここは上から行くのが正解か」 「にゃ(上ですか)」 「おう、中の様子を伺って、いけるようなら窓から行くぞ」 「ちょっと、何かってにきめてるにょよ」 「いいから、ちょっとじっとしてろよ・・・自由と循環とを司る風霊よ、大地の束縛よりかの者を解き放て!」 ご主人の<フライト>の魔術が完成し、レオナさんがふわりと浮き上がります 「こういうのを見るとやっぱり魔術師にゃのよね、こいつ」 「うるさいよ」 ご主人は自前の羽を羽ばたかせると怪しい暗幕の引かれた部屋の窓へと飛び上がりました ご主人の肩に捕まっていた私が振り返ると、少し遅れてレオナさんが続いていました 「・・・これは!?」 ご主人の声に振り返ると、暗幕の隙間から中をのぞいていたご主人が驚いた表情をしていました 私もご主人にならって中をのぞいてみると・・・そこには驚愕の光景がひろがっていたのでした、まる |