『ヒース独立記』

第1話「事件と猫族の匂い」

私はネコです 冒険者ヒースの使い魔をしています
名前は・・・まだありません・・・

ここ数日 忙しい日々が続いています
気が付けば前のPTをやめ、厄介事に追われていました
とりあえず、少し整理してみる事にしましょう

まず、事の始まりは 数日前
前のPTと ある仕事を終え、報酬を受け取った後の事でした・・・




ライン神殿を出た5人はそれぞれ自由行動に成ります
任務を成功した後はそれぞれが自由行動
特に取り決めた訳ではないらしいのですが、そういう事のようです
(大きい仕事の場合は打ち上げのような物があるようですが・・・)

私は当然ご主人さま(ヒース)の後ろを付いて歩きます

と、大通りに出たところで ふと、ご主人様が丘の方を振り返りました
丘の上にあるのはかつての王城
ラインの町に住む誰もが悪の象徴としている建物です

あの城へと伸びる道
普段ならば誰も通らないはずのその道には幾人かの人影が見えます
不思議に思って少し見ていると、いつのまにかご主人様に遠くから呼ばれていました
慌てて追いかけていき、もう一度振り返った時には人影は有りませんでした

ご主人様はあまり気にしていないようでしたが
この事を目撃した事から すでに事件に巻き込まれていたのかもしれません



歩いていると中央広場に着きました
ご主人様はここでヒトの流れを良く眺めています
そしてたまに特定の人物を目で追う事があり、それはほぼ猫族(アウリク)です

・・・それからの事をあまり話すとご主人様の尊厳に関わるので止めておきますが・・・


ですがこの日はいつもと違いました
ざわつく中央広場
ご主人様も何が起こっているのか良く解らない様子で、人だかりへと近付きます

そこで行なわれていたのは『公開裁判』でした
この中央広場では公開裁判や公開処刑が稀に行なわれます
滅多な事件ではそれほどの事体にはなりませんが
ラインという町そのものに大きな影響を与える物については利用される事があるようです

今までもたまにあった事で
珍しくは有るものの、普段ならそのままご主人様は素通りしてしまいます
ですが、この日だけは違ったのです
ココで聞こえて来る一言だけが

『あーもう! にゃんで誰も信用してくれにゃいにょよーーーー』

この一言が聞こえた瞬間 ご主人様の戦闘反射は全開になりました
いつもの戦闘でも行なえないほどの身のこなしで人ごみを掻き分け、その中心に近付いていきます

私はその行動に半ば呆れながらも付いていくしかありませんでした
あの時見た光景よりもむしろ厄介なのは このご主人様の行動だったのかもしれません







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