第1部『告げる声』

第1話「悲しみの時間」

少女「ふぅ、これで大丈夫ね」
疲れて木の根元に腰を下ろす
さっきまで周囲に罠を張っていたところだ
これで約5,60メートル以内に誰かが入るとそれを事前に察知できるはず

とにかく少し休もう

始まってから既に数時間
暗かった空はすでに薄い青色に変わり、木々の間からは時折太陽の姿が覗く
コレまでの時間で出会うことのできたのは
同じ建物に連れて行かれ、事前に待ち合わせの出来たリョーコちゃんだけだ
鞄に入っていた地図からは良く分らなかったが
これだけ歩いても不慮の遭遇がないという事は おそらく結構大きな島であろう


とにかく今は休む
それからリョーコちゃんと決めたようにみんなを探す
まずカノン君とアイズ君とこーすけ君と弟さん・・・ひよのさんも・・・
少女痛っ
右手に少し痛みが走る
見ると切り傷・・・罠を仕掛ける途中で草で切ってしまったのかも知れない
少女「う〜ん、ま 舐めておけば治るよね」
あいにくと支給されたペットボトルにはコーラが入っていたので洗う訳にもいかない

少女「・・・それにしても・・・暗い森の中で一人って・・・すっごく恐い
サァァァァ
風が吹き葉が揺れる
少女「はぁぁぁぁぅぅぅぅ」
うぅ・・・恐い・・・何時までこんなところに居なくちゃいけないんだろう・・・

   カタンッ

少女「!?」
早くも仕掛けた罠が作動した

・・・だれか来た・・・

とりあえず様子を見よう・・・もしかしたら誰か知ってる人かも

グゥルルルル

少女「はわ!?」
気付くと周りには数匹の大型の犬が居る
牙をむき出して・・・もしかして・・・もしかしなくても・・・怒ってる?
少女いやあああぁぁぁ

少女はうぅぅ、追ってこないで〜〜〜私は美味しくないですよ〜〜

ダメ〜
何でこんなところに犬が居るの?
大きい犬は嫌いなのに〜〜〜

やめなさいっ!!
横から突然女の人の声が聞こえた
私は犬から逃げながらも一応懐の武器を握り締める
ふと後ろを見ると犬達の動きが遅くなってた
やめて!!
もう一度女の人が叫ぶと犬達は完全に動きを止めた

「大丈夫だった?」

女の人が近付いてくる
武器は持っていない・・・とっても良い人そうだ・・・
・・・そんなに警戒する必要もないよね・・・
そう判断して懐の武器から手を放す

少女「はい 助かりました、あなたは?」
フローネ「あ、私はフローネ・トリーティア(65番)です」
理緒「私は竹内理緒(59番)です、あの・・・さっきの犬はどうやったんですか?」
フローネ「えっと・・・笑ったりしないで下さいね?」
理緒「え?・・・はぁ」
フローネ「私・・・動物とお話が出来るんです、それで ただ止めてって言っただけなんです」
理緒「動物と・・・ですか・・・」
フローネ「はい・・・おいで」

フローネちゃんが再度呼びかけると犬達は一斉にフローネちゃんの周りに集まった

理緒「うわぁ〜」
犬達は決してフローネちゃんに襲い掛かったりするわけではなく
近くに座ってリラックスしている
フローネ「私にはこういう能力(ちから)があるの」
理緒「すてきですぅ・・・こんな力が有れば私は毎朝追いかけられることも無くなるのに・・・
フローネ「理緒ちゃん?」
理緒はわっ、なんでもないですぅ」
フローネ「あの・・・今さらなんだけど・・・私たち争わないって事でいいですよね?」
理緒「あ・はい、勿論ですよ。今そんな事をしても向こうの思う壺ですしね」
フローネ「よかった、それじゃ一緒に行動しませんか?」
理緒「はい、喜んで」
フローネ「理緒ちゃんはこれからどうするんですか?」
理緒「取りあえずは仲間を探す予定です・・・フローネちゃんって何歳ですか?」
フローネ「え?私は今年で18になった所ですけど・・・」
理緒「私だって今年で18歳ですよ!」
フローネ「えぇ!?・・・わたしてっきり・・・」
理緒「・・・てっきり・・・どうしたんですか?」
フローネ「いや、ゴメンなさい。それじゃ理緒さん・・・でいいかしら?」
理緒「はい、それじゃ取りあえず移動しましょうか」
フローネ「そうですね」

二人で歩き出そうとした時、何処に設置されているのか
スピーカーを通したような無機質な声が聞こえてきた
《皆さん頑張って殺しあってますか?そろそろいい時間なのでちょっとお知らせをしようと思います
  まずはお待ちかねライバルの死亡報告です
  10番 ランディ・ウェストウッド
  43番 草摩 神楽
  69番 ローラ・ニューフィールド
  70番 リオ・バクスター
  79番 二見 美魚
  88番 リサ・メッカーノ
  98番 ピート・ロス
  99番 ルーティ・ワイエス
  以上7名だ
  だが少なくないか?もうちょっと頑張ってくれないとなぁ
  ・・・なんかちょっかいを出したくなるじゃないか・・・
  ・・・まぁ今は様子を見てやるが・・・
  ・・・何時までもこんな調子だったら・・・
  ・・・まぁ楽しみにしておいてくれ。
  それじゃぁまた、よい殺し合いの宴を


・・・知っている人の名前はあがらなかった・・・
まぁみんな普通の人と違うところがあるからそう簡単には死なないと思っていたけど
理緒ふぅ・・・
思わず安堵のため息が漏れる
フローネ「そんな・・・ルーティちゃん・・・」
理緒「フローネちゃん!?」
ルーティ・・・放送で名前が挙がった・・・つまりは死んでしまった人の名前・・・
・・・しまった・・・
迂闊だった
私の大事な人が亡くなっていなくてもフローネちゃんの・・・
フローネちゃんはその場で座り込み小刻みに震えている
理緒「フローネちゃん」
フローネ「何で・・・なんでルーティちゃんが・・・あの子は人を襲ったりとか出来ない少し恐がりな娘なのに・・・なんでルーティちゃんが死ななきゃいけないの?」

・・・甘い・・・

フローネちゃんは甘い
ここは戦場なんだからいつ誰が殺されてもおかしくないし
たった今自分が死ぬかもしれない
だから一人知り合いを失ったくらいで我を忘れてしまうフローネちゃんは甘すぎる
こうしているうちに自分が死ぬ確率が高くなるのだから
もし私が敵だったらこの隙に間違いなく殺せる
フローネちゃんは甘い

・・・だけど・・・

その甘さが今はうらやましい
私は知らない人とはいえ7人が死んだ事なんて気にもしていなかった
この戦場は本当の戦場ではない
周りに居るのは必ずしも敵とは限らない
むしろ参加者全員の協力が得られればこの状況を変えられるかもしれない
だからこの甘さ・・・優しさはここでは必要な物なのかもしれない・・・

でもだからといって何時までも泣いていては困る
少なくともここは安全な場所ではない
誰かを殺そうとしている人が必ずいるのだ
私にはその『敵』からフローネちゃんを守りながら戦う事など出来ない
最悪の場合、フローネちゃんを囮にしてでも私は逃げるかもしれない
例え、後で後悔することになったとしても
今 ここで死ぬ訳には行かないのだから

・・・どうやって慰めたらいいんだろう・・・
こんなときどう言ったらいいんだろう
戦場では慰めるなんて必要無かった
感情を自分自身でコントロールできない人はその場で死ぬだけ
だから私たちはその場では1秒たりとも悲しまなかった
・・・とにかく声をかけないと・・・

ペロッ
フローネ「え!?」
私が迷っているうちに犬達がフローネの近くに集まっていた
そしてそのうちの1匹がフローネちゃんの目元の涙を舐めた
クゥゥゥン
何かをフローネちゃんに語りかけているように見える
・・・いや実際語りかけているのだろう、フローネちゃんは動物と話ができるらしいから・・・
フローネ「うん・・・ゴメンね」
理緒「フローネちゃん」
フローネ「理緒さんもゴメンね、みっともない所見せちゃって」
理緒「うぅん、いいよ」
フローネ「こんな所で泣いていても何も解決できないわよね、みんなを探さないと」
理緒「そうね、行こう!」
フローネ「えぇ」


【残り92人】







第2話「洗脳」

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
キィ
数時間閉められていたドアが開かれた
管理者「気分はどうですか?」
既に本は読み終わり脇においてある
シェリル?「悪くない」
管理者「これから戦場に戻っていただく訳ですが・・・今のお気持ちは?」
シェリル?「まぁ悪くない」
管理者「そうですか、お名前は?」
シェリル?「桐山和雄」
管理者「ふふっ よろしい、今から武器を渡します。頑張ってください」
シェリル?「いいだろう」

武器が大量に詰まったバッグを受け取り建物を出る
獲物を探す
それが俺のする事
しばらくは適当に歩くか・・・



シェリルが去った後、管理者は電話をかけていた

管理者「えぇ、上手くいきました」
・・・・・・
管理者「いえ、疑っていた訳ではないのですが」
・・・
管理者「まぁすぐには信じられない事でしょう?」」
・・
管理者「本の世界に没頭しすぎる・・・まさかあそこまでとは」
・・・・・・
管理者「はい、解っております。これ以降の介入は極力避けますよ」
・・・
管理者「はい、失礼いたします」
プツ
電話を切る

女に読ませた本を手にとる
この本・・・
バトロワを元に製作した本で、「桐山和雄視点」で物語が進行するつくりになっている
さらに最終的には他人を殲滅する設定に改ざんしてある
それを読ませたのだ・・・

計画は予定通り
これまでのところ・・・特に大きな支障はない・・・
今後もこの通り行くと良いのだが・・・


【残り92人】







第3話「信用」

ルーティさんが死んだ・・・
ここに連れて来られてから覚悟していた事とはいえ・・・
とにかくみんなを探さないと

    !?
・・・誰だ・・・
微かな気配
こちらも今まで以上に自分の気配に気を配る
向こうは気配を隠す事のできる人物
・・・つまりは強敵である可能性が高い・・・

「そこに誰か居るな!?」
   !?   
既にばれていた?
どうする・・・できれば戦いたくない
・・・向こうがその気ならば・・・取りあえず逃げよう
「こちらには殺し合いをする気はない・・・少し話を聞きたいだけだ」
・・・・・・・・・
木陰から出て男の前に歩いていく
ただしどんな状況にでも対応できるようにしておく

男は軽く両手を挙げている
何もする気はないという事なのだろう
それを見て一応ナイフに添えた手を放す
「別に警戒を解く必要はない、まだ信用できないだろう?」
マックス「・・・・・・」
「まぁいい、少し聞きたい事がある」
マックス「なんですか?」
「カノン・ヒルベルト・・・最初に管理者に詰め寄った男を見かけなかったか?」
マックス!?・・・会いました・・・もうずいぶん前ですが」
会ったのか?・・・そのときの事を教えてくれないか?」
マックス「・・・解りました」

そしてアイズ・ラザフォードと名乗る男に、カノン・ヒルベルトと出会った事を話す
強力な麻酔銃で女の子を殺した事、自分の事を知っているようなそぶりなど
男は黙ってそれらを聞いていた

アイズ「・・・そうか・・・兄さん・・・まず間違いなく麻酔銃の細工の事をカノンは知らない」
マックス「何故・・・そうと断言できるんですか?」
アイズ「カノンは一般の人間を殺さないという鉄よりも堅い誓約を守ってきた男だ
   この程度の状況でその誓約を曲げて一般人を殺すとは考えられない」
マックス「この程度の状況・・・ですか?」
誓約云々よりもこの異常ともいえる状況を『この程度』と言ってしまえる事が気にかかる
アイズ「あぁ、俺達は常に命を狙われ続け戦ってきた
   ・・・特にカノンは敵にとって一番に狙うべき、そして一番恐れるべき敵であった・・・
   だからカノンは数十人を一人で相手にした事だってある
   ・・・それに比べればこの状況・・・カノンにとってはあまり危機的状況といえるわけではない」
マックス「・・・で・・・貴方はどうしたいんですか?」
アイズ「勿論カノンを止める、そして出来る限り仲間を集めてこの状況を変えたい」
マックス「・・・」
アイズ例え神に逆らうことになろうとも・・・神とて完璧ではない・・・必ず抜け出せるはずだ
男の誓いのような呟きが聞こえる
その心に嘘は無さそうで、正直気持ちを感じる事が出来た

マックス「・・・解りました、あなたの事を信用しますよ」
アイズ「ん?何故イキナリ俺を信じるんだ?」
マックス「何故でしょうね?僕にもわかりませんが、信用してもいいって思ったんですよ」
アイズ「・・・・・・・・・」
マックス「まぁこれからどうしますか?一緒に行動しますか?」
アイズ「いや、できればバラバラに  
ドゥッ
ッ!?
・・・何だこの音は・・・
アイズ「爆発音・・・すぐ近くだな・・・」
ドゥッ
少し間をおいて再び聞こえる爆発音
マックス「行きましょう」
アイズ「・・・そうだな」
・・・何か胸騒ぎがする・・・
その後も何度か爆発音が聞こえるその方向へと急ぐ


【残り92人】







第4話「刺客」

ルシードルーティ・・・・・・ちぃっ」
放送の内容に怒鳴りたい気持ちを押し殺しルシード・アトレー(6)木の根元に座る
死亡者のリスト名簿にルーティの名前があった

・・・もうルーティはこの世に居ない・・・

最初のくじ引きでBFはほとんど分断されてしまった
俺と一緒の場所に運ばれたのはティセのみ
そのティセもどこかで待っているように言ってはおいたが
俺が出発した後、探したがどこにもいなかった
恐くなって逃げてしまったのかもしれない
しばらくの間探していたが手がかりも見つけられず森を探索していたら先程の放送だ
ルーティ以外にも数人が死んでいる
・・・ゲームは滞りなく進んでいるという事だ・・・

ルシード「ったく」
横に置いてある支給武器を掴む
大きな、ガラスで出来た飲み物(主に酒)を保存しておく容器
まぁ酒瓶である(ちなみに中身はない)
ルシードバーシアなら似合いそうだがな・・・・
そんなどうでもいい感想を呟いてみたくもなる
酒瓶じゃあ その辺にある岩とあんま変わらねぇな
こんなんで身を守れんのかよ・・・
・・・まぁ・・・とにかく他の奴らを探す
夜が明けたら動くか・・・

ピンッ
ルシード「!?」
何か金属の音・・・誰か居る?・・・あたりを慎重に見回す
コロコロ
『何か』が手に触れる
見る
それは丸い・・・
ルシードやばっ!?
慌てて横に飛び、転がる
ドウッ
爆発
本能的に木陰に隠れる
ルシードだれだ!?
女の声「外したか・・・」
聞き覚えの無い女の声、だがとても暗い声だ
ピンッ
コロコロ
ルシードちぃっ
ドウッ
再度爆発
避けるついでに自分の鞄に駆け寄る
支給されたバッグではなく自分の私物だ
たまたま出張の移動中につれてこられた為にいろいろ入っている
それを持って再び木陰に隠れ、中から代えの上着を取り出す
ピンッ
再び金属音
取り出しておいた上着を右に放る
一瞬間をおいて木の左側から姿勢を低くして飛び出す
そのまま相手に向かって駆け出した
ドウッ
別の方向から爆発音が聞こえた、狙い通りダミーの方に手榴弾を投げたようだ
右手に酒瓶を持った状態で何となく見える敵に向かう
距離はそう遠くないようだ
相手の姿が良く見える、背は自分よりも小さく、やはり女のようだ
相手は左側に丸い物・・・例の手榴弾だろう・・・を持っている
近付けばそれは使えまい
そして右側には・・・
ルシードな!?
相手の持っている「物」に気付き咄嗟に横に飛ぶ
ぱららっ
音と同時に右足に激痛が走る
バリーーーーン
思わず酒瓶を持つ手の力が緩み、割れた
だが瓶にも、そして右足の痛みに構っている暇は無い
そんな事をしていれば・・・この距離で止まっては・・・間違いなく死ぬ・・・
すぐさま大き目な破片を拾い投げつける
たっ!
運良く破片は相手の左肩に当り『何か』落とした
さらにガラス片を引っつかみ敵に向かって駆け出す
右足はやばいほどに痛い
さらにガラスで手に傷を負った様ではあるが気にせず走る
ピンッ
!? させるか!!
金属音に気付き左手で掴んでいた欠片を投げつける
「あ!?」
持っていた物を落とし、女は背を向けて逃げ出した
すかさず右手に持った破片を投げようと構える
   直後   
ドウッ
下に転がった『それ』は爆発した

舞い上がった土煙が晴れた時、既に人影は遠くなっていた

ルシード「くそっ・・・痛ぇ・・・」
その場にうずくまる
右足は数発の銃弾を受け 血が絶えず流れ出ていた
ルシード「やべぇな・・・こりゃぁ・・・魔法も使えねぇってのに・・・」
側に落ちていたマシンガンを拾う
適当に女の消えた方向に向けて引き金を引く が

カタカタカタカタ

ルシード・・・弾切れ・・・ったく、ついてねぇ・・・
しばらくその場に寝転がる
というより動く事も出来ない
そうしているうちにだんだん意識に靄がかかってきたようだ
ガサガサ
誰か来た・・・だが自分は動けない・・・
ルシード・・・俺も終わりか・・・ほんと、ついてねぇなぁ
マックス「ルシードさん?」
ルシードマックスか?・・・前言撤回・・・一応・・・不幸中の・・・さいわ・・・い・・・・・・か
急激に意識が遠くなる

・・・やっぱダメ・・・だったか・・・

すまねぇな・・・ティセとか・・・他の奴を頼むぞ・・・

身体を揺すられているのは感じるが何も出来ない

言葉も発する事も出来ない・・・

・・・ただみんなの無事を祈るだけ・・・

・・・情けねぇ・・・

・・・・・・
!?

ルシードいってえええええぇぇぇぇぇぇ
アイズ「騒ぐな、誰かが気付いたらどうする」
ルシード「あ、悪りぃ・・・ってんなもん傷口に突っ込みゃ痛ぇに決まってんだろ」
見ると何か金属の細い棒のようなものを傷口に突き刺していた
アイズ「弾を摘出しなくては治る物も治らん、我慢しろ」
どうやらこの激痛で目が覚めたようだった
・・・・・・
しばらく激痛を耐えると痛みに慣れてきたのか思考が回復してきた
ルシード「お前誰だ?」
マックス「アイズ・ラザフォードさんです、さっき会ったばかりですけど多分信用できます」
傍らにいたマックスが代わりに答えた
ルシード「そう・・・か・・・」
アイズ「終わったぞ」
ルシード「くそ・・・痛ぇ」
アイズ「痛みは生きているから感じられるんだ」
それは確かに正論だが、痛いものは痛い
足の中に異物は無くなったかもしれないが
傷口は余計に広がり先程以上に血が流れてきている
マックス「ルシードさん、ちょっと手伝ってください」
そう言いながらマックスは俺の側に座る
ルシード「何を・・・だ?」
マックス「足に魔力を集中してください、その魔力を使って傷を治します」
ルシード「んな事・・・出来んのか?」
マックス「さぁ?でも普通の魔法が使えない以上それしかないでしょう」
ルシード「さぁって・・・まぁ、しゃーねぇな」
このまま何もしなければかなりの確率でこのまま意識を失うだろう
ならどうなるか解から無くても、賭けてみる価値はあるだろう

言われたとおり足に魔力を集中させる
普通こんな事はしないので、つい足に力が入り傷口から血が流れる
しばらくそうしているとだんだん慣れてきた
さらに足の痛みも引いてきたような気がする

マックス「・・・終わり・・・ですね」
ルシード「ふぅ、悪りぃ、助かった」
マックス「誰に襲われたんですか?」
ルシード「解んねぇ、女だったようだが・・・」
マックス「そうですか・・・」
ルシード「それに武器を2種類も持っていやがった、それに何の前触れも無くイキナリ・・・だ」
アイズ「2種類どころではない」
マックス「ラザフォードさん?」
しばらく姿が見えなかった男が再び戻ってきた
大きな鞄を持って
アイズ「これがおそらくその女の荷物だろう・・・見てみろ」
そう言ってファスナーを開けてそばに置く
ルシード「な!?」マックス「これは・・」
アイズ「手榴弾4ダース、予備マシンガン1丁、マガジン10ダース、スタングレネード2ダース
  ロケットランチャー1丁、その弾が3ダース、投げナイフ50本、プラスティック爆弾1ダース
  ・・・こいつは何処の戦争に向う気だったんだ?」
ルシード「この鞄は大当たりってやつか?」
アイズ「いや、これは異常すぎるだろう・・・主催者の手の者としか考えられんな」
ルシード「だがあの女・・・最初の場所で見た憶えあるぞ・・・最初に誰かが撃たれた時に側にいた・・・」
アイズ「ならば参加者に紛れ込んだ刺客だろう・・・手の込んだ真似だな・・・」
ルシード「だとしたら・・・あいつはこの場で叩くべきだったか・・・」
アイズ「この武器の差ならば仕方あるまい、結果として武器が手に入った、上出来だ」
ルシード「死ぬと思ったがな、もう二度とこんな事しねー」
アイズ「まぁそれがいい、あまり分の悪い賭けはそうそうするものではない」
ルシード「そうだな・・・ってマックス?どうした?」

さっきから会話に参加してこないマックスに声をかける

マックス「いや・・・二人って声似てますね、目を瞑ってるとそっくりです」
ルシード「そうかぁ?」
アイズ「当人にはわからぬ事だからな」
ルシード「まぁそんなこたぁどうでもいい、マックスはこれからどうする?」
マックス「とりあえずみんなを探します」
ルシード「そうか・・・俺はしばらくここで休む、頼むぞ」
マックス「はい、しばらくは魔力が無くてだるいでしょうが自然回復はしますから」
ルシード「ん、お前・・・ラザフォードはどうするんだ?」
アイズ「俺はしばらくここに残る、アトレーはしばらく眠っていろ」
ルシード「必要ねぇよ」
アイズ「いや、その女 武器がなくなればもう一度ここに戻るだろうからな」
ルシード「・・・そうか・・・分った、一応お前を信じよう」
アイズ「そう言ってくれると助かる、アーセニック・・・少し武器を持っていけ」
マックス「いや、別に」
アイズ「魔法とやらが使えないのだろう?常にある力が使えないのは大きく戦力が下がる」
マックス「・・・そうですね、じゃ手榴弾を少し貰っていきます」
アイズ「念のためスタンも持っていけ、結構役に立つ」
マックス「これはどういうものなのですか?」
アイズ「まぁいわゆる特殊閃光弾という物で、爆発と同時に轟音と激しい閃光が発生する
   これを近くで爆発させられた者は腹部に強烈な衝撃を受けたようになるそうだ
   非殺傷武器だが確かな威力がある・・・ただし周りにこちらの位置がばれるがな」
マックス「分りました、じゃ貰っていきます   お気を付けて」
アイズ「そちらも・・・カノンを見付けたら・・・・・・頼む」
マックス「はい、それでは」
マックスは駆け出した
ルシード頼むぞ
俺は既に小さくなった後姿に呟く


【残り92人】







第5話「目覚め・・・そして・・・」

ザァァァァァーーーーー
・・・風が気持ちいい・・・
今・・・ここで殺し合いが行なわれているなんてウソのよう
途中で入った放送だけが、この島で殺し合いが行なわれている事を示している
美魚さんが・・・・・・
一緒にいたはずの真魚さんは大丈夫でしょうか・・・
拓也さん・・・守ってあげてくださいね・・・

ザァァァァァーーーーー
静寂
風が吹き、木々が揺れる音だけが聞こえる
香澄ちゃん・・・正気に戻っているといいなぁ
隣りで眠っている香澄ちゃんを見る
本当に気持ちよさそうに眠っている

香澄う・・・ん・・・?
木葉「香澄ちゃん!?」
ドキッとした、覚悟はしていたけど・・・いざとなると決心が鈍りそうになる
もし・・・ダメだったら・・・
私はポケットの中にしまった硬い物に触れる
・・・大丈夫だよね・・・きっと・・・
・・・よし

木葉「おはよう、香澄ちゃん」
香澄「あれあれぇ?木葉ちゃんじゃないですかぁ、おはようございます・・・ってもしかしてこれはっ!?
   私の寝顔をバッチリしっかりくっきりチェキされちゃいましたか?」
木葉「ふふ、香澄ちゃんの寝顔・・・可愛かったよ」
香澄「うわ〜〜、恥かしさ絶頂ですよぉ」

・・・良かった・・・いつもの香澄ちゃんだ・・・

木葉「香澄ちゃん」
香澄「ん?どうしたの?」
木葉「風・・・気持ちいいね」
香澄「そうだね〜〜〜」
木葉「しばらく・・・こうしていたいね」
香澄「木葉ちゃんとなら例え火の中水の中風の中ですよぉ」
木葉「ありがと」
よかった・・・本当に・・・良かった
和観さんにも・・・後でお礼したいな・・・

パァン

!!
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・



11番 一ノ瀬木葉 死亡
【残り91人】








第6話「香澄と・・・」

突然の銃声
それと同時に赤いモノを流しながら倒れる木葉ちゃん
そして・・・
目の前には、長い間探し続けていた人物
その人が大きめの銃を持って立っていた
香澄「お・・・お兄ちゃん!?
「や 香澄、大丈夫か?」
香澄「大丈夫かって・・・なんで木葉ちゃんを・・・」
「香澄が危なかったからさ、そいつは香澄を殺そうとしてたんだよ」
香澄そんな!!木葉ちゃんはそんなことしないよ!!
「嘘じゃないさ」
そう言いながら銃を腰のホルスターにしまい近付いてくる
そして木葉ちゃんのズボンのポケットから何かを取り出した
「これ、なんだか解る?」
香澄「うぅん、解んない」
「これはそこの鞄に入っている爆弾の起爆スイッチさ、この辺を吹っ飛ばすほどの威力があるものだ
   これが爆発すればその子も香澄も絶対に生きているなんて無理だ」
香澄「そんな・・・ウソよ・・・」
「う〜ん、そんなに信用できないならついておいで、証拠を見せるから」
香澄「あ・・・う・うん」

解らないよ
そんなはずはないもん
だって木葉ちゃんは「シンユウ」なんだから
そう、お兄ちゃんの勘違いだよ
・・・でもそうするとおにいちゃんも悪者になっちゃう・・・
・・・うん、お兄ちゃんは誰か悪い奴に騙されちゃったんだよ
そう、お兄ちゃんはいい人だから信じちゃったんだね
私を助ける為に
だからあんなのが爆弾のスイッチな分けはない
オモチャだよ
うん

「香澄、よく見てな」
結構離れた場所でお兄ちゃんはスイッチを入れた
・・・・・・
香澄「ほら、なんとも――」
ドォォォォォォォーーーーーーーン
香澄「あ・・・」
「どう?ほんとだったろ?」
そんな・・・
木葉ちゃんが・・・
私を・・・
コロソウトシテタナンテ

「香澄、よく聞け、大事な事だ」
香澄「・・なに?」
「このゲーム最後まで生き残ったら・・・他の奴を皆殺しにしたら人魚の肉が手に入る」
香澄「え?」
「俺も完全に生き返ることが出来る、今のこの身体は少しの間あいつらに貸してもらってるんだ。
   それにその子を生き返らすことも出来る」
香澄「木葉ちゃんを?」
「あぁ、あの子に聞きたいこと・・・そして俺のために、このゲームを勝ち残るぞ」
香澄「・・・・・・うん、そうだね、みんなを殺さないと」
「よし、香澄にはこの銃をやるよ」
香澄「え?お兄ちゃんは?」
「俺の事は心配するな、他に武器はあるんだ」
香澄「そう、それじゃ行きましょ」
「いや、一緒には行けない」
香澄「なんで!?」
「一緒に行動したら効率が悪くなるだろ?手分けして殺していこう」
香澄「そう・・・だね・・・」
「大丈夫だ、危なくなったらさっきみたいに駆けつけてやるから」
香澄「うん、解った、頑張ろうね」
「あぁ、気を付けろよ」
香澄「お兄ちゃんこそ」
明るく答えて駆け出した
みんな殺せば
殺せばお兄ちゃんが生き返る
殺せば
殺す



香澄が小さくなって見えなくなるのを霞はじっと見つめていた
「終わったな」
突然後ろから声をかけられる
霞?「まぁな、一人しか殺せねぇってのはストレスがたまるぜぇ」
「これが我らの仕事だ、文句を言うな」
霞?「ヒャハハハ解ってるって、だからちゃんとやったろう?」
「そうだな、人を騙すのは上手だな」
霞?「ヒャハハハそう褒めるなって」
「・・・そろそろ戻ったらどうだ?その姿のままだと調子が狂う」
霞?「そうだなぁ、よっと」
俺は今までの仮の姿から本当の姿に戻る
霞だった男「ヒャハハハやっぱ俺はこの姿が一番いいねぇ、誰でもいいから殺したい気分だぜぇ」
「シャドウ!暴言は慎め、貴様には貴様の仕事がある」
シャドウ「解ってるさ、オメェは堅すぎんだよ、もっと俺みたいにハジケようぜぇ」
「ふん、貴様は柔らかすぎだ」
シャドウ「ヒャハハハそうかもねぇ」
「まぁ・・・いい、それよりも次の司令だ、行くぞ」
シャドウ「おぅ、次の獲物はだれかなぁ」
「次は・・・」


【残り91人】







第7話「毒電波を操る女」

「何のようだ?」
「ずいぶんと不機嫌そうね、私とは一緒に居るのもイヤなのかしら?」
いきなり待てと言われれば誰でも警戒するわ!
「あまり大きい声でがならないでくれる?回りに気付かれるわ」
「・・・」
「あら、どうしたの拳を握り締めて」
・・・どうせ解ってからかってんだろ・・・
「あら、何時から気付いていたの?」
「・・・・・・」
「まぁいいわ、本題に入りましょうか?」
「速いとこそうしてくれ、俺の限界が来る前に」
「あなた武道をやっていたわね」
「あぁ、それがどうした?」
それで守りなさい!!
お前は電波があんだろうが!
「あら失礼ね、私の電波は人は止められても銃弾は不可能よ
   でもあなたなら銃弾を掴んだりできるのではなくて?」
「無理に決まってんだろーが」
「あらそうなの?以外に役に立たないのね」
「・・・」
「冗談よ、そう拳を握り締めたまま俯かないでくれる、見てて余りいいものではないわ」
「・・・・・・」
「では質問を変えるけど、由希君ならできるのかしら?」
「クソ鼠にだって無理に決まってんだろうが、師匠でも無理だよ」
「やはり体術はそんなものなのかしら」
「だが・・・実際やってみない解からねーが、正面で対峙すればどう避けるか理屈は解っている
   銃口を見て、指先を見ればおそらく避けられると思う 素人相手なら・・・だがな」
「そう・・・それなら何とか役に立つのかしら?」
「だからそんな状況ならお前が電波で止めろよ」
「あ・・・そういえば言ってなかったわね、ここではそんな事出来ないわ」
「は!?」
「ここに来てから電波の・・特に送信に対して負荷がかかっているの」
「つまりお前はここでは余り強くない?」
「あら、元々私はか弱い女よ」
「・・・」
「そんな否定を込めた目で私を見ないで頂戴、それにあなたは根本的に勘違いしているわ」
「何をだ?」
「あなたが守るべきは私ではなく、透君よ」
「え」
「透君を守りたいでしょう?」
「お前あいつの場所知ってるのか?」
「えぇ、送信するには付加が大きいけれども、受信に関してはそこまでではないわ
   ある程度は制限されているけどね」
「・・・」
「透君を守りたいんでしょう?」
「・・・」
「あぁあなたはこういうことに対して肯定を出来ない人だったわね」
「こういうことってなんだよ?」
「ではこうしましょう、肯定の意思は『いいえ』で表しなさい」
変わんねーだろ!
「我侭ね、なら沈黙を肯定とみなします、透君を守りたいわね?」
「・・・あぁ」
「あら、発言したという事は否定?でも私の耳が確かなら『あぁ』って言ったような」
「おっめーは、そんなに俺をからかって面白れーかよ!?」
「えぇ、当然じゃない」
「・・・」
「それじゃ行きましょうか、透君らしき電波は既に受信されているわ」
「はぁ!?まじかよ」
「えぇ、ただ・・・」
「なんかあったのか?」
「透君が二人居るように感じるのよ」
「・・・どういう事だ?」
「さぁ、電波が阻害されている影響かもしれないけど・・・細かい事はわからないわ」
「じゃあ確かめに行くぞ、ここでこうしててもしょうがねーだろ」
「えぇ 貴方らしくないほどに正論ね」
「・・・」


・・・あなたは誰?・・・
・・・・!?
・・・!?・・・あなたこの電波を感じるの?・・・
・・・・・・・・・・・
・・・初めてね・・・そっちに言っていいかしら?・・・
・・・・・
「向こうも電波が使えるようね」
「マジか・・・」
「了解は取ったは行きましょう」
「あ・あぁ」
花島と同じ電波使い・・・マジか・・・相手はちゃんとした人だよな・・・

・・・透君が居ない・・・
はぁ、間違えたのかよ?
いえ、そんなはずはないわ。現に今もこの二人から透君の気配がする
偽透?「あの・・・あなた方は?」
こちらが小声で話していたら向こうから声をかけられた
「あ、ごめんなさい、私は花島咲(71)こっちの男は」
「草摩夾(46)」
「ごめんなさい、この人はいい人で感情が出やすいくせに無愛想になのが玉に傷なの」
「何だよそりゃ!?」
理緒「あははは、いい人そうでよかった。私は竹内理緒」
フローネ「私はフローネ・トリーティアです」
おい花島?どっちが電波使える奴だ?
フローネさんのほうね
まじかよ?
べつにどっちでも驚きだったんだが・・・この・・・
フローネ「はい?どうしました?」
思わずじっと見つめてしまっていた
「い・いやなんでもない」
「あらあなた顔が赤いわね、透君一筋じゃなかったの?」
「ベ・べつにあいつが好きって訳じゃ・・」
フローネ「あ・・・あの」
「あらごめんなさい、こっちには特に用件があったわけではないの」
理緒「へ?」
「と言うか人違いだったのよ、あなた方は透君と似た電波をしているのよ」
フローネ「はぁ」
「ごめんなさい、本田透(83)と言う女の子に出会ったらお願いします」
フローネ「はい、伝えておきますね」
「それではごきげんよう」
「・・・」
「ほら夾?いつまでも見とれていないで行くわよ」
「ベ・べつに・・」
「はいはい、そういう事にして上げるわ」
「じゃな、お前らも気を付けろ」
理緒「はい、ありがとうございます」
フローネ「そちらこそお気を付けて」


【残り91人】







第8話「焦りと・・・」

森の中を走る

爆発音が聞こえた
小さな手榴弾とかいうもののレベルではない、この辺一帯を震わせるような大爆発
・・・それもあの木葉ちゃんと分かれたあの方向で・・・
不安・・・木葉ちゃんはおそらく・・・
だがもしかしたら生きているかも知れない
確かめたい
少しでもかかわりを持った子、自分に関係がない訳じゃない
それに爆発した場所には誰か集まるかもしれない
それが知っている人かもしれないのだ
ならばそれだけでも行く価値はある
・・・そう・・・例え最悪の結果だとしても悲しむ暇はない
最悪の結果を想定していないといけないのだ・・・

おそらくもう少しで着く
この辺は木々が焦げていたりするところもある
爆心地はこの辺だろう・・・

和観
思わず声がもれる
和観「これは・・・」
猫の形をしたフード
もう焦げた後などがあり知っていないとそうと解らないが・・・
和観「木葉ちゃん・・・」
仕方がない
そう片づけてしまって良いのだろうか・・・
もしあの時木葉ちゃんの意思を無視してでもあの子を殺していれば・・・
木葉ちゃんは助かったのだ
私の甘さが、結局木葉ちゃんを殺したともいえる
こんな事でわが息子を守ることが出来るのか
非情になる必要があるのかもしれない
和人や・・・坊を守るためにも・・・私が鬼になるべきなのか・・・
そう・・・なのかも・・・
ここはそういう場所なのだから・・・

和観「あれ?これは・・・」
木葉ちゃんのと同じような服・・・
爆弾からは遠い位置にあったのかほとんど焦げていない
それを手にとって見る
ハラッ

紙が数枚落ちた
この服の下にでも置いてあったのだろうか・・・
文字が書いてある・・・木葉ちゃんの名前で・・・私や他の誰かにあてた手紙・・・
取りあえず私宛の手紙を開く

『和観さんへ
 和観さんがこの手紙を読まれているという事は、きっと大きな爆発音でこっちに戻ってきてくれたのだと思います。
 あれは私の爆弾です。

 香澄ちゃんを、もし止められなかった時に爆発させようとしたもの・・・おそらくそれの爆発音です。

 和観さんに救ってもらった命 投げ出すような真似をしてすみません。
 でも私は香澄ちゃんを止めなくてはいけなかったのです。
 ・・・それが償いでしたから。

 和観さんは優しいから自分が手を汚せばよかったと考えているかもしれませんがそれは違います。
 一番よい結果というのは香澄ちゃんが元に戻ってくれるという事ですが
 香澄ちゃんが元に戻らないならば、この結果が一番よかったんだと思っています。

 本当に勝手を言って申し訳ありませんが自分を責めないで下さい。
 そしてどうか香澄ちゃんと同じ過ちを犯さないで下さい。

 それとお願いがあります。
 ここに一緒においてある手紙を届けて欲しいのです。
 汽京紅葉と霧島拓也と二見真魚さんへ宛てた手紙です。
 
 最後にもう一度謝らせてください
 ごめんなさい和観さん、貴女は生きて大事な人を守ってあげてください

                                      一ノ瀬木葉より』

・・・・・・
和観「・・・まったく・・・あんな可愛い子に説教されるなんてね・・・」
よし
探そう
息子と坊と・・・ここに書いてある3人を・・・
こちらこそお礼を言わなくてはね・・・ありがとう、木葉ちゃん
また森の中を走り始めた


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