フラウド


私(ミラ)とエミュがアカデミーに来てからもう4ヶ月
エミュには内緒だけど最初は結構寂しかった、でも今は大丈夫
授業って言っても結構楽しいし、最近は頑張る目標があるし


エミュ!な〜にボーっとしてるのよ?
え?・・・あ・・・ミラか
まったく、覇気が全然無いわねぇ 次の時間はなんだか覚えてるでしょ?
次って・・・実戦剣術か・・・
そうよ、今日はこの前の借りを返すからね!覚悟しなさいよ!!
それだけ言って既に準備しておいた授業の道具を持って集合場所へと急ぐ


エミュの次の授業は実戦剣術だけど、私のは実戦格闘
最初は先生と型の練習とかつまらない事ばかりだったけど
最近は私とエミュは既に結構強いので二人での訓練(模擬戦)がメインだった
同じように応用科目の属性別魔法(火)では魔法メインでの模擬戦となる
この前の魔法勝負ではエミュに不覚を取ったけど今度の肉弾戦では負ける訳にはいかない

ちなみに魔法訓練ではエミュとほぼ互角の勝率だけど、肉弾戦ではほぼ全勝
・・・とはいえそれほど嬉しい結果ではないのだが・・・
私は格闘がメインで、エミュは魔法がメイン
肉弾戦で勝つのは当然って感じだからだ
しかもエミュは魔法訓練の時に結界魔法を制限付きで使ってくる
常に結界を張るのは禁止されているらしく、魔法が当たる直前のみに結界を張る
・・・そりゃ常に結界張られてたらどう頑張ったって勝てないから当然かもしれないけど・・・
なんか手加減されてるみたいで少し悔しい

だから私の目標は肉弾戦も魔法戦も全部全勝
それぐらいして、結界魔法の制限を解いてもいいって思わせないと


よーし、がんばるぞー おー
ねぇそこを歩く君 ちょっといいかな?
え?
いきなり横から声をかけられて振り向くと茶髪の軽そうな男が立っていた
やっ 君 可愛いね 名前なんていうの?
はぁ?・・・なに?ナンパ?
ただ同じ生徒の名前を聞いただけじゃん?ナンパとは失敬な
それじゃ名簿見て調べればいいでしょ、私もう行くから
ちょっと待ってよ、別に名前ぐらいいいじゃん
そう言って立ち去ろうとする私の肩に手を置いてきた
しっつこい
肩に置かれた手を振り払いながら振り向く
何よアンタ わたしこの学園であんたを見たことないんだけど
この学園の全生徒は100人に満たない、見たこともない奴なんていないと思うけど
あ、俺今日からここの生徒なんだ
ふ〜〜ん
ちょっと疑わしい
だからほら仲良くしようぜ
そう言ってまた私の肩に手を置こうとする
も〜アンタ邪魔!!
肩に下ろされてきた手を左手で払い
そのまま右拳を顔面に打ち込む
スッ
え?
危ないなぁ いきなり
・・・避けられた・・・
完全に不意をついて、手加減もしないで手を出したはずなのに
鮮やかに、危なげも無く避けられた

へぇ・・・キミが・・・・・・俺の名前はフラウド
・・・あ・あんたの名前聞いたってこっちは教える義理は無いよ
ん、いいよ、その代わりに教官室教えてくれないかな?場所わからなくって
え?・・・
とりあえず大雑把に場所を教える
後はその辺でまた聞きなさい
サンキュ、またなミラちゃん
そう言って男は駆けていった
・・・え?・・・
アンタなんで私の名前を・・・ってもういないし
・・・いったい なんなのよ?・・・



変な男のせいで完全に遅刻してしまった
いつもは遅い先生が今日に限ってきっちりと来てるし…最悪…

お・遅れてスミマセン
「ミラが遅れてくるなんて珍しいな」
ちょっといろいろとありまして・・・
「ふーん、まぁ相手もまだ来てないしいいんだけどね」
あれ?今日は私が移動するんじゃありませんか?
「あ、そういや言ってなかったな、今日の相手はエミュじゃないんだ」
へー…誰ですか?
「もうすぐ来ると思うから待ってな」
は・はぁ


どうもお待たせしましたっ!
やっと来たのかな
「おう、よく来たな それじゃミラ始めるぞ」
はーい
やっ!ミラちゃん
ア・アンタ さっきの変な男!!
変な男とは心外だなぁ、ただ道を聞こうとしただけなのに
だったら最初から素直に聞きなさいよ
りょーかい、以後善処いたします
全っ然 誠意が見られないわね
この口調は生まれつきだからねぇ

「なんだ、もう知りあいに成ってたのか?」
先生が少し驚いた顔で聞いてきた
いえ、ただ教官室の場所を教えただけです

「ん・・・まぁいいや、それじゃ模擬戦始めるぞ」
こいつと戦えばいいんですね
初対面でこいつ呼ばわりか・・・まぁ気が強いのも良いけどね



「二人とも構えて・・・」
先生の合図で二人とも押し黙りゆっくりと構える

こいつには負けない・・・負ける訳には行かない
・・・でも・・・
・・・強い・・・
なんだかんだ言っても私との模擬戦が組まれるんだからそこらの奴より全然強い
それは構えを見ただけで解る
・・・おそらく他の生徒では数秒も持たないだろう・・・

始め!
先生の合図とともに懐に潜り込む
はっ!
私の先制攻撃を危なげなく避け、逆にカウンターの一撃が迫る
その一撃を右腕で受けて左手で牽制する
相手はバックステップでかわす
・・・距離をとる気ね・・・
私が武器を持っていないから 中距離ではこちらが不利
向こうのバックステップと同じスピードで前に進む
ちぃっ!!
苦し紛れに繰り出してきた攻撃を左手で軽く軌道をずらす
しまっ」「はぁっ!!
私の右拳が相手の鼻先で止められていた
そこまで!!
・・・ふぅ・・・俺の負けか、話には聞いていたけどやっぱ強いなぁ

何とか速攻で終わらせられた
ふぅ・・・いたっ
腕に痛みを感じ見てみると
最初のカウンターを受け止めた右腕が少し腫れていた
あ、ちょっと手借りるよ
な・なにすんのよ
いーからいーから

そう言いながら強引に私の右手に手を当てる
地の精霊アーシーよ、少しばかりこの娘の為に力を分けたまえ・・・アースヒール
少し腕が光ったかと思うと一瞬で痛みが引いた
私よりも回復魔法が得意なエミュとも比べられないくらいのスピード
・・・何となく悔しい・・・

ア・アリガト
いえいえ、どーいたしまして・・・グッと来た?
は?
俺の優しさに こう・・・グッと何か感じなかった?
アンタって・・・馬鹿ね
うわっ!?酷っ!!

「おいお前ら、漫才もその辺にしておけって」
言い合いをしていた私たちを先生が止めようと声をかける
漫才じゃありません
じゃ俺突っ込み担当ね
あんたが突っ込みな分けないでしょうが!!
パシンッ
ナイス突っ込み
・・・乗せられた・・・
・・・って言うか先生の止めようとした言葉が逆効果・・・

その辺にしておけフラウド
突然後ろから別の人の静止が入る
お・親父!?」「ゼファー先生?
って父親!?ゼファー先生が!?

・・・全然性格が似てないのに・・・
冷静で静かで信頼のできるこのゼファー先生と
アホで軟派なこの男が親子?
まぁね、認めたくないけど
こっちは別に認めた訳ではない
・・・まぁちょっと似てる・・・のかな?
そんな事よりも、二人とも今日夕食後に第3教官室に来てくれ
え?
一月後には後期日程に入る、その際のSクラスの顔合わせがある
はい、分りました」「りょーかい
フラウド そろそろ戻るぞ
え〜まだミラちゃんと話したいなぁ
イヤよ
そんな即答しなくても
ほら、行くぞ
いででで 耳引っ張るな みみ〜〜〜

ゼファー先生はフラウドを引っ張って訓練場から出て行った
ふぅ・・・後期日程・・・あんな奴も一緒なのかぁ・・・
・・・・・・不安・・・・・・


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