あるアリ○ハンでの悲劇


母親「エニクス 起きなさい」

その一言で全て(ゲーム)が始まった

俺の名前はエニクス
名前の由来などどうでも言いが、造物主を表す言葉らしい

そして俺の父親は大層名のある冒険者だったとか
その息子である俺は勇者と信じられている訳だ

まぁそれは良い
この俺にはそこそこの剣術や魔術に対する心得もあるし
やつ等 愚民の期待に添えることも楽勝だ

だが問題はあの国王だ
さんざっぱら俺に期待しておいて、よこした支度金はあの程度
ガキのお使いじゃないんだぞ?

ったく、俺は俺なりにやらせてもらうか・・・



数日後



今日は隣町まで遠征してきた
橋を渡ると何故か出て来るモンスターが変わるのが不思議だが、まぁお約束という奴だろう

それよりも問題はあそこに売っていた武器だ
なんで(アリ○ハン)よりもその辺の町のほうが良い武器置いてあるんだ?
俺の武器はアリ○ハンで変える最高武器である胴の剣であるのだが
あの街に行くと他の武器の前に霞んでしまう

武器を代えようにもお金はまだ足りない
ちまちま雑魚を狩るのは俺の性に合わないしな

エニクス「しかたない・・・な・・・」

俺は仲間を宿屋に残してル○ーダの酒場に行く事にした


エニクス「ル○ーダさん、こんにちは」
俺は人当たりの良い『勇者』の顔をして酒場に入る
ここにはル○ーダの他にたくさんの人がいる
本性をさらけ出すのには都合が悪いからだ
ル○ーダ「あらエニクス?どうしたの?」
エニクス「実は冒険者を捜しているんだ」
ル○ーダ「へぇ・・・ま、深くは訪ねないわ、でもLv1しかいないけどそれでいいの?」
エニクス「あぁ、それがいいんじゃないか」
ル○ーダ「なるほど・・・くすっ・・・解ったわ、職業は・・・どうでもいいか、女の子ね?」
『了解した』という笑みをしつつ俺に応じる
さすがはル○ーダ(理解者)俺の言いたい事がすべて解っている
エニクス「あぁ、できれば世間知らずを頼む」
ル○ーダ「はぁい、んじゃ明日また来なさい」
エニクス「頼りにしてるよ」
そう良い残すと俺は酒場を後にした



次の日



いいいい「あの、よろしくお願いします」
現われたのは『いかにもお嬢様』といった印象を受ける僧侶の女の子
腰の辺りまで伸びた長い髪が印象的だ
これから冒険に旅立とうという髪には見えないが・・・それもまたお嬢様らしくていい
エニクス「そんな硬くならないで」
俺と会う冒険者のなかには極端に俺を特別視し、遠慮する者も少なくない
そういった態度は俺の優越感をあおり悪くない
いいいい「でも、勇者様と・・・その・・・私Lv1だし・・・つりあわないです」
エニクス「いいから、レベルなんてすぐに追いつくよ」
いいいい「そ・そうでしょうか?」
エニクス「あ、そういえば装備は?」
いいいい「・・・その・・・自分で調達したんですが・・・」
エニクス「布の服とひのきの棒で精一杯だった、と?」
いいいい「すみません!!」
エニクス「いーからいーから、俺の所持金は・・・んー君のを買うには少し足りないか」
いいいい「いえ!!自分の物は自分で買いますよ」
エニクス「何言ってるんだよ、仲間だろ?」
いいいい「勇者様・・・」
エニクス「あ、『ひのきの棒』と『布の服』を売れば一式変えるな」
いいいい「え?そんな・・・悪いです  
エニクス「言ったろ?仲間だって それとも仲間だとすらキミは思えない?」
いいいい「そんな、ごめんなさい」
エニクス「わかれば良いんだって、それじゃちょっと更衣室行こうか」



いいいい「それじゃ・・・これ・・・」
エニクス「ん」
カーテンの向こうからそっと渡される(布の服)とひのきの棒

俺はそれを受け取るとル○ーダの元へと歩く

エニクス「ル○ーダさん」
ル○ーダ「あ、終わった?」
俺の両手にあるものをみて言う
エニクス「あぁ、あの子削除しておいて」
ル○ーダ「りょうかーい、次の子用意してあるけどいる?」
エニクス「よろしく頼むよ」

こうして俺はめでたく仲間の分も武具を揃える事となる



Fin


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